IDE大学協会近畿支部 IDE大学セミナー 挨拶 (2009年8月21日)

第25代総長 松本 紘

会場の様子

 近畿支部長の松本でございます。平素からIDE大学協会近畿支部の活動に対して何かとご支援・ご協力を賜り有難うございます。厚く御礼申し上げます。

 さてIDE大学協会は、わが国の高等教育の充実と発展に寄与することを目的に昭和29年に生まれた民間の研究団体でございまして、東京に本部と全国6地区に支部が置かれております。近畿支部におきましても協会の設置目的を達成するため、毎年大学と社会に関わる諸問題をテーマとして取り上げ、大学セミナーを実施して参りました。私が仄聞するところによりますと、例年多数のご参加を得、また話題提供者から興味ある知見が披瀝されると共に、ご参加の皆様方から自由闊達なご意見が出され、大いにセミナーが盛り上がっているやに聞き及んでおります。
  本年度の主題は、「学士力」を考える、でございまして、昨年のセミナー終了以降、IDE実行委員の先生方を中心に、大学の管理運営、学生指導、社会と大学に関わる近畿支部会員各位の興味関心等、様々な角度から総合的にご検討頂き、本年度の主題としてお纏め頂いたものでございます。

 

松本総長 「学士力」の内容につきましては、一見しましたところ一言で簡単に理解でき難いイメージがございます。先日、私のところへ実行委員長と広報課長がIDEの本年度事業について説明に来られた折に、「学士力」とは何かを問うてみました。本日の資料にありますような「専攻分野を問わず学士課程において達成することが期待される学習成果」との返答が戻ってきました。したがいまして、この概念には、多分にどの大学にも共通する普遍的な概念が内包されていることは想像に難くありません。しかし私は、この共通する普遍的な「学士力」の概念の上に、それぞれの大学の特色や個性に裏打ちされた「学士力」の部分が存在するのではないかと考えております。
  私が京都大学に入学した頃、もう半世紀近くも前になりますが、大学入学以前に身に付けた多様な経験や価値観をもった学生が全国から集い、大学は新しい出会いと交流の場、すなわち一種の坩堝(るつぼ)として機能し、お互いが切磋琢磨し鍛え合うことを通じて、学生達が新しい知を創造する素地を醸成する場であったと思います。こうした坩堝機能にこそ大学の特色を生み出す基があり、またそれはその大学独自の「学士力」が湧き出る源泉であろうと考えます。本日は、ぜひ各大学独自の「学士力」とは何か、ということにまで踏み込んで議論を深めて頂きたいと思います。
  本日の限られた討論時間の中で、統一見解を纏めるのは極めて難しいとは思います。しかし、IDEセミナーの伝統として「結論は出さない」という不文律があるやに聞いておりますので、統一見解に囚われず、フロアの方からも活発なご意見・ご提言を頂き、議論が大いに盛り上がることを願っております。
  最後に本日のセミナーが、ご参加の皆様方の教育・研究、あるいは大学の管理運営等に大いに寄与・貢献することを祈念致しまして、簡単でございますがご挨拶に代えさせて頂きます。

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