京都大学メールマガジン Vol.63

京都大学メールマガジン Vol.63

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京都大学メールマガジン Vol.63
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目次:
◆巻頭言:図書館機構長 林信夫
◆総長メッセージ「人々との出会い(7)」
◆修士課程1回生シリーズ/医学研究科人間健康科学系専攻 寺村心
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:図書館機構長 林信夫

図書館機構の使命と課題

1.【使命】
 図書館機構では、京都大学の教育や研究の成果を社会に発信するため「京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)」を構築し、2006年からインターネット上で公開しています。この間各先生方の協力により収録論文数が2008年度の3万7千件から昨2010年度には8万8千件に、アクセス数も61万件から114万件へと順調に伸びていますが、このような本学の機関リポジトリの活動について、今年7月に、世界的機関により日本1位、世界8位という高評価を得ることができました。この評価は、京都大学が日々生みだしている教育・研究の成果に対する社会からの関心の高さを物語っているものといえます。

 図書館機構は、このような本学の知的資源の保存、社会への情報発信だけでなく、特に電子ジャーナルを始めとする学習研究環境の整備・向上、そしてこれらに資するための人的資源整備や組織作りを全学的な観点から推進し、世界最高水準の教育・研究拠点に相応しい学術情報基盤としての役割を担うことを使命としています。

2.【課題】
 京都大学の図書館は、いわゆる附属図書館だけでなく、約50の部局の図書館・室からなっています。大学設置基準では大学に図書館を置くこととされ、その限りでは大学の「附属図書館」は組織的にはひとつで、それを現実にも「分館」として制度化している大学もあります。また東京大学のように、いわゆる附属図書館と部局の図書館から「附属図書館」が構成されるとする大学もあります。それに対し、京都大学の現状は、外からみると極めてわかりにくい組織になっていますので、利用されたい外部の方、連絡を取りたい外部の方は戸惑うようです。せめて外から見てわかりやすい組織にできればと考えているところです。

 とはいえ、今のところ、現状の制度枠組みの中で全学的観点からの学術情報基盤として役割を果たすために、図書館協議会における議論を経て、学術情報資源・サービスを含む学習研究環境の向上、知的成果の発信、知的資産の保存・管理やそれらを支える人的資源・組織の整備等に、全学を見据えながら取り組んでいるところです。

 それらの中で、特に全学の協力の下に進めなければならない問題が、電子ジャーナルの分担金問題です。論点のひとつが、昨年度部局長会議等で承認された新しい経費負担方式を踏まえながら、毎年値上がりを続ける電子ジャーナルの新たな負担方式のあり方になります。今後議論をしながら、より良い教育・研究環境整備に結びつけていくことができればと考えております。


◆総長メッセージ「人々との出会い(7)」:松本紘

 これまでの人生で私が出会った人々についてお話をさせていただいておりますが、今号は大学生時代について振り返ってみたいと思います。

7.大学生時代の思い出

 高等学校を卒業して、京都大学工学部電子工学科に入学しました。医学部への進学は財政的に難しそうだったので断念し、高校時代から文系の学問にも強い関心はありましたが、就職が確実という単純かつ深刻な理由で工学部を選びました。電子回路や無線通信の知識や経験もありませんでしたが、当時最先端を行く新しい分野であり、また学内トップクラスの競争率でしたのでチャレンジし甲斐があると思い、電子工学を選びました。

 1回生、2回生の教養部時代には全国から集まった英才と出会うことができて多くの刺激を受けました。電子工学に進んだものの、興味を持ったのは数学や物理よりむしろ言語学、心理学、社会学などでした。世界観、人生哲学、言語などについて親友といろいろ議論しました。今となってはその頃に身につけた知識や語学力がずいぶん役立っているような気がします。

 3回生、4回生になって専門科目が入ってくると、親友たちと猛烈に勉強しました。ほとんど毎日、朝8時10分から夕方6時頃までの連続授業で、学生実験も厳しかったことを覚えています。

 4回生の卒業研究に際して、電子計算機という当時の最先端の名前に惹かれて、コンピュータのパイオニアであった清野武教授の研究室に入り、津田孝夫助教授について「モンテカルロ法による多変数関数の外挿計算法」というテーマに取り組みました。少し勉強してみましたが、課題の解決は現状では難しいという結論に達し、先生にその旨を申し出ると一喝され、「そこを何とかするのが工学研究である」とお叱りを受けました。その後、あるアイディアが浮かび、問題を解決することができました。問題を常に心にとめ、そのことを寝ても覚めても考え続けているとふと緊張が解けた瞬間に解決が見えることがあることは、その後も何度か経験しました。
 大学の卒業論文は私の最初の学術論文となり、英国の専門誌(Journal of ACM)に掲載されました。津田孝夫先生からは「世界で誰もやっていないことに挑戦する」ということをご自身の研究姿勢から学ばせていただきました。またこの問題に取り組んだことで、その精神を生活に活かし「最小の努力で最大の成果を出す」ということも重要であると感じたものでした。当時学部生であった私には、権力から独立した自由の尊重というベルリン大学のフンボルトが主張した「研究と教育を統一した研究大学」の理念を知る由はなかったのですが、今になって実にいい教育をしていただいたと感謝することしきりです。

(次号へ続く)


◆修士課程1回生シリーズ/医学研究科人間健康科学系専攻 寺村心

 臨床認知神経科学という分野で現在研究を進めています。卒業研究では、発達期の環境の違いによって情動等に変化が起こるときの神経基盤(脳内における変化)を調べたいと思い、それを明らかにするために必要となる動物の作成を試みました。現在はそのような動物の作成をしつつ、実際に神経基盤を調べようとしています。

 また、ここ2~3ヶ月は就職活動も意識し始め、8月には一般企業のインターンシップにも参加しました。インターンシップでは普段の学問からは学ぶことができないことを多く学び、自分の人生設計や仕事というものを考え、自己分析をする機会を得ることができました。どのような業界のどのような職種につくかもまだ明確には決めていませんが、自分が成長できる企業を探しながら就職活動をしたいと考えております。

 これから数ヶ月は研究と就職活動を並行して行っていくことになりますが、どちらも自分自身の成長に必ず結びつくものなので、できる限り最高の質で両立していきたいと思います。


◆大学の動き◆

○台湾京都大学同窓会との意見交換会が開催されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110906_1.htm

○トルコ・コッチ大学と大学間学術交流協定、大学間学生交流協定を締結するとともに、第16回京都大学国際シンポジウムを開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110909_1.htm

○東北復興支援に学生ボランティアを派遣しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110830_1.htm

○京都大学VBLグローバルリーダー育成カップ2011(本選)を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110820_1.htm

○京都大学VBLグローバルリーダー育成カップ2011・高校生部門を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110805_2.htm

○学術情報リポジトリ「KURENAI」が世界ランキングで第8位になりました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110831_1.htm

○上越洛友会例会が開催されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110806_1.htm

○「オープンキャンパス2011」を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110811_3.htm


◆研究成果◆

○慢性腎臓病の2大合併症である腎臓の線維化と腎性貧血のメカニズムの解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110913_1.htm

○ひねりの効いたガスセンサーの開発:大気ガス中から二酸化炭素のみを検出
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110905_1.htm

○なぜ人間と高等サル類のみで色覚は進化したのか
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110901_1.htm

○放射線の修復蛋白NBS1によるRAD18を介した損傷乗り越えDNA合成の開始
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110902_1.htm

○新たな生体内酸素センサー機構の発見
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110829_1.htm


◆イベントのお知らせ◆

○ゼロエミッションエネルギー研究拠点国際シンポジウム
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110928_1.htm

○学術情報メディアセンターセミナー「多人数インタラクションの分析と応用」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110927_1.htm

○京都大学サマーデザインスクール 2011
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110927_2.htm

○第3回京大病院がんセンターシンポジウム
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110928_2.htm

○第182回アフリカ地域研究会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110929_1.htm

○原子炉実験所一般公開
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111001_1.htm

○アトムサイエンスフェア講演会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111001_2.htm

○「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウム2011
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111001_4.htm

○京都大学大学院経営管理教育部 入試説明会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111001_3.htm

○京都大学 東京オフィス「東京で学ぶ 京大の知」 シリーズ5 人間とその進化の隣人たち
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111022_1.htm

○防災カフェ「地震による建物被害 阪神と東日本の教訓」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111001_5.htm

○京都大学春秋講義
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2011/111130_1.htm

○大学院教育学研究科 入試説明会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111006_1.htm

○第17回品川セミナー「"自然の恵み"とは何だろう-地球を変えた生物の進化」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111007_1.htm

○平成23年度 京都大学森林科学公開講座
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111009_1.htm

○井戸端サイエンス工房 サイエンス・カフェ第22回 ~科学をおやつにティータイム~ 「そうだ、図書館の人にきこう!」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111008_1.htm

○京都大学グローバルCOEプログラム「普遍性と創発性から紡ぐ次世代物理学」 第4回 市民講座 「宇宙と物質の謎に迫る」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111010_1.htm

○平成23年度 京都大学図書館機構 第1回講演会「図書館は学生の現在(いま)にどう応えるか?-変わりゆく「学び」と大学図書館-」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111011_1.htm

○女性研究者支援センター シンポジウム「シリーズ 私の仕事とキャリアデザイン4 企業研究者とワーク・ライフ・バランス」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111014_2.htm

○第8回 食と農の安全・倫理シンポジウム「食品の放射性物質汚染について考える」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111014_1.htm

○「竹の環プロジェクト」参加者募集~平成23年秋 竹林間伐ボランティア~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111015_2.htm

○レクチャーシリーズno.94 ジュニアレクチャー「サルの声とヒトの話しことば」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111015_3.htm

○京都大学シンポジウムシリーズ「大震災後を考える」 シリーズXV 「東日本大震災地域事業継続に向けて」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111015_1.htm

○京大ウィークス
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111023_1.htm

○産学連携セミナー2011 大学研究における生物多様性条約~あなたの国際共同研究、MTA、特許は大丈夫ですか?~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111021_1.htm

○教育学研究科附属臨床教育実践研究センター 公開講座 うつの心理療法「はかなさ」と「型」の国日本において
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111030_1.htm

○2011年親子理科実験教室(特別企画 第2弾)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/111030_2.htm

>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&;c2=1


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