京都大学メールマガジン Vol.58

京都大学メールマガジン Vol.58

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京都大学メールマガジン Vol.58
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目次:
◆巻頭言:総務・人事担当理事・副学長 塩田浩平
◆白眉プロジェクト:川名雄一郎
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:総務・人事担当理事・副学長 塩田浩平

京都大学の事務組織改革について

   京都大学では、平成23年4月から新しい本部事務組織が発足しました。これは、事務改革推進会議で議論を重ね、その間に学内各層から聴取した意見をとりいれて策定したプランに基づいて実施したものです。京都大学では、平成16年度の国立大学法人化の機に事務改革を行いましたが、その後数年を経過し、また京都大学を取り巻く内外の環境も変化してきたことから、事務組織の見直しが必要と考え、まず本部事務組織の再編に着手しました。

   第一に、10部あった事務部を7部に再編し、総務部と企画部を統合して新しい総務部に、施設環境部と環境安全衛生部を統合して施設部に、学生部と教育推進部を統合して学務部に、そして研究推進部と国際部を統合して研究国際部としました。また、情報環境部を情報部と改称しました。大学の業務が多様化かつ複雑化し、専門性の高い業務執行が必要になってきた一方で、関連する業務を統括して大学として戦略的に進める必要が高まってきています。そのために、部を統合して縦割りの弊害をなくし、各部間の調整機能を強化することで、事務組織が機動的に動くことを期待しています。

   次のポイントは、渉外部の新設です。京都大学が外部へ積極的に情報発信し、他の組織や京都大学卒業生の同窓会組織との連携を強化することが以前に増して重要になってきています。松本総長も、大学の外部戦略の重要性を機会あるごとに指摘してこられました。3月までは外部戦略室が中心となって国内外の同窓会の組織化と活性化を進め、また大学の基金活動にも力を入れてきましたが、このたび渉外部を新設し、その中で渉外企画課と社会連携推進課が種々の渉外活動を組織的に推進する体制が整いました。渉外担当の大西有三理事・副学長を中心に、京都大学の外部戦略や基金活動がより活発に進むと期待されます。

   さらに、本部事務部に「大学改革室」を設け、大学内の組織改革、教員組織と職員組織の改革を一元的に担当することとしました。大学の発展のためには、組織と人的配置を常に見直しながら、不断に改革を進めることが不可欠です。総務・人事担当の私と企画担当の江崎理事・副学長が大学改革室の責任者となり、教員と職員からなるスタッフと協同して、問題点を解析しながら大学改革を系統的に進めたいと考えています。

   法人化の機会に事務組織はフラット化、グループ化の体制をとりましたが、事務組織の現場から現状の問題点が指摘され改善の要望が出てきたことから、今回、掛を単位とした組織を基本に、本部事務組織を再編しました。従来の優れた点を活かしながら必要な改善を行い、職員が働き易い体制を構築していきたいと考えています。

   重要な事務組織改革もまだ緒についたばかりであり、さらに改善すべき点が少なくありません。また、今回の本部事務組織改革に対応する部局事務組織の見直しも早急に進めなければなりません。大学改革室では、構成員の皆様からご意見をいただき、今後の組織改革に役立てていきたいと考えています。多くの教職員の皆様からの建設的な御意見をお待ちしています。



◆京都大学次世代研究者育成支援事業「白眉プロジェクト」助教 川名雄一郎(かわな ゆういちろう)(思想史)

   フランスの啓蒙思想家ヴォルテールに『カンディード』という作品があります。この作品は、「この世界は神の善意によって動かされており、それゆえにあらゆる物事は最善である」という考え(オプティミスム)をいだいていた主人公カンディードが、あるきっかけで生まれ育った恵まれた城を追放され、数多くの不幸に見舞われつつ、幾多の人々に降りかかる不運と困難を見聞していく物語です。世界に遍在する不幸を身をもって経験することで、カンディードはそれまで抱いていた素朴なオプティミスムを放棄することを余儀なくされます。作品は、彼が最後にたどりついた境地をしめす次のような印象的な言葉で終わっています。「それでも、自分の畑を耕さなければなりません(mais il faut cultiver notre jardin)。」

   ヴォルテールがこの作品を執筆したのは、1755年11月1日にポルトガルの首都リスボンを襲った大地震に衝撃を受けてのことであったと言われています。ヨーロッパの中でもとりわけ敬虔なカトリック国家であったポルトガルの首都が津波と火災によって廃墟と化した(しかもカトリックの祭日に!)という悲劇は当時の神学・哲学の基礎を揺るがし、ひとりヴォルテールだけでなくヨーロッパの多くの思想家に多大な影響を与えました。突然に日常を断ち切られた人々に思想は何を語ることができたのでしょうか。

   私は思想史という分野で功利主義について研究しています。思想史という分野は専門外の人からみると何をやっているのか分かりにくいようで、私自身も知りたいことを調べ読みたい本を読むのが思想史だなどと嘯いていますが、いずれにしてもこの分野が即効性・実用性という考え方からはほど遠い分野であることは確かでしょう。自分の研究が眼前の悲惨な現実に対して無力なのではないかという思いに襲われることもあります。それでも、どのような状況にあっても思想史研究者として私がしなければならないことは明らかなように思います。読み、考え、書くことを通じて、自らの精神を涵養(cultivate)していくこと。そのような営みが社会に何かを訴える力をもちうることを信じつつ、そうしつづけていくこと。

   西田幾多郎は「哲学の動機は『驚き』ではなくして深い人生の悲哀でなければならない」と書き記しています。この言葉に初めて出逢ってから長い年月が経ち、かつて学生として過ごした京都で職業として思想史研究に従事する身となったいま、あらためてこの言葉について考えています。



◆大学の動き◆

○台湾・清華大学でAEARU「28th Board of Directors Meeting」およびPresidents' Forumが開催されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110410_1.htm

○松本紘 総長と大西有三 理事・副学長が台湾京都大学同窓会会員と懇談を行いました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110410_2.htm

○国際ワークショップ「生命倫理ガバナンス」を開催し、「連帯と支援の京都声明」を採択しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110327_1.htm

○名誉教授称号授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110405_1.htm

○iCeMSとエジンバラ大学MRC-CRMが学術交流協定を締結しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110330_1.htm

○平成23年度大学院入学式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110407_2.htm

○平成23年度学部入学式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110407_1.htm

○法学研究科がユーリウス・マクシミリアン・ヴュルツブルク大学法学部と学術交流協定を締結しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110301_1.htm

○東北の地で被災された方々へ関西からのメッセージ「ささえよう日本 関西からできること」について
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110404_2.htm

○京都大学紹介コンテンツ(学部・研究科版)が完成しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110331_1.htm

○大西有三 理事・副学長が中国・京京会会員と懇談を行いました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110326_1.htm

○平成22年度卒業式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110324_1.htm

○大学院学位授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110323_1.htm

○栄誉
・庄垣内正弘 名誉教授および望月拓郎 数理解析研究所准教授が日本学士院賞を受賞
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110412_1.htm

・文部科学省「平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」に本学から17名が選ばれました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110411_1.htm


◆研究成果◆

○太陽プロミネンスのバブルの謎が解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110414_1.htm

○テングザルの反芻行動の発見
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110413_1.htm

○寄生者(ハリガネムシ類)が駆動する渓畔生態系のエネルギー流の解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110412_2.htm

○3D化石と「汚物だめ」: カンブリア紀オルステン化石の保存の謎を解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110412_1.htm

○遺伝子挿入のないヒトiPS細胞のより簡便な樹立法の開発
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110404_1.htm

○抗がん治療薬、シスプラチンが、がん細胞に効かなくなる分子機構の究明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110405_1.htm


◆イベントのお知らせ◆

○京都大学春秋講義
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/110525_1.htm

○学術情報メディアセンターセミナー 「大量映像データのマイニング」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110426_1.htm

○Challenge! 最前線の行政官が語る霞が関 (京都大学公共政策大学院・人事院共催)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110616_1.htm

○クロックタワーコンサート ~京都大学と京都市立芸術大学による交流の午後~ 「オーケストラってなんだ?!」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110508_1.htm

○京都大学 東京オフィス「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ3 安心安全生活まちづくり
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110530_1.htm

○平成23年度 第1回花山天体観望会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110514_3.htm

○2011年アフリカ地域研究資料センター 東京公開講座「アフリカ研究最前線:アフリカの食と農」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110514_1.htm

○平成23年度 京の府民大学 2011年4月~2011年9月 アフリカ地域研究資料センター公開講座 創立25周年記念シリーズ 「アフリカ研究最前線:生きる」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110917_1.htm

○2011年親子理科実験教室(春~夏コース)[連続5回]
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110925_1.htm


>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&;c2=1


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