日本海のイルカの生態を音で探る―若狭湾と浅茅湾における来遊と鳴音の違い―

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公開日

研究者情報

研究者名

小川 真由

概要

 日本海は半閉鎖的な海であり、近年環境が劇的に変化する一方で、上位捕食者である小型鯨類の生態情報は限られていました。木村里子東南アジア地域研究研究所准教授(兼:農学部・大学院農学研究科准教授)、志塚峻介農学研究科大学院生(研究当時)、小川真由農学研究科大学院生(研究当時、現:海洋研究開発機構特定研究員)の研究グループは、若狭湾(福井県小浜市)と浅茅湾(長崎県対馬市)において、2022〜2024年に受動的音響モニタリングを実施し、小型鯨類の鳴音を検出し、来遊状況と鳴音特性を調べました。両海域でマイルカ科の鳴音が検出され、種はミナミハンドウイルカの可能性が高いと考えられました。検出頻度は両海域とも十日に一度程度で、来遊率はそれほど高くありませんでした。コミュニケーションに使われるホイッスル音の鳴音特徴量は、背景雑音レベルが高い(うるさい)浅茅湾と、低い(静かな)若狭湾で有意な差がありました。本成果は、日本海沿岸における小型鯨類の時空間的な出現と音響特性に関する基礎情報を提供し、今後の保全・管理の基盤となるものです。

 本研究成果は、2026年5月25日に国際海産哺乳類学会の国際学術誌「Marine Mammal Science」にオンライン掲載されました。

画像
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受動的音響モニタリングにより、日本海沿岸の若狭湾と浅茅湾における小型鯨類の来遊状況と鳴音の特徴を解明  ©︎きのしたちひろ

研究者のコメント

「この研究は、人のつながりから始まりました。『小浜にイルカが来ているらしい』『対馬にもイルカがいるらしいよ』、そんな一言から漁業者の方々の助けを得て調査が始まり、海の音を聴き続けることができました。地域の方々と一緒に、身近な海に暮らすイルカたちの姿をこれからも明らかにしていきたいです。」(木村里子)