第7回「京大おもろトーク:アートな京大を目指して」を開催しました。(2017年3月21日)

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京大おもろトークは、京都大学の教職員、研究者、学生達による芸術分野の「おもしろい」発想(独創的な研究)と国内外の「おもしろい」文化芸術家との意見交換の場をつくり、文化芸術との連携を本学から発信するものです。

今回は「芸術と毒の微妙な関係」をテーマとして、学外からは内丸幸喜 文化庁文化部長、小松和彦 国際日本文化研究センター所長、松尾惠 ヴォイスギャラリー代表、学内からは山極壽一 総長、吉岡洋 こころの未来研究センター特定教授、吉川左紀子 同センター長、亀井謙一郎 物質-細胞統合システム拠点特定准教授、土佐尚子 情報環境機構教授が加わって、対談、パネルディスカッション、質疑応答が行われ、学内外から244名の参加がありました。

亀井特定准教授の司会により、まず山極総長の挨拶の後、内丸部長と山極総長とが対談を行いました。ファインアートとしての芸術はそもそも何の役に立つのか?という本質的な問いから始まって、デザインとアートの違い、文化芸術に対する行政の関わり方、役に立つ立たないとは別次元のアートの大切さはどこにあるのか、サイエンスとアートとの関係といった話題が話し合われました。

次に3名の講演者が、それぞれ「芸術と毒」にかかわる内容の講演を行いました。小松所長は、古代ギリシアの「ファルマコス」という概念が毒と薬との両方を意味するということから、毒でも癒しでもあるという両義的な性格が、「鬼」やシャーマニズムの伝統の中に見出されることを指摘しました。松尾代表は、「有毒女子」展をはじめ「ヴォイスギャラリー」の活動を通して、社会の中での芸術の「巫女」的なあり方について話し、また吉岡特定教授と共に発刊してきた批評誌「有毒女子通信」を紹介しました。吉岡特定教授は哲学と毒、若返りの泉、毒娘など、思想・美術・文学を貫く「毒」のテーマと、それと不可分な両義性の思考を論じました。

全体トークでは、3名の講演者に内丸部長、山極総長が加わり、客席から出された質問を吉川センター長が紹介するという形で、質疑応答が行われました。内丸部長と山極総長の対談に関しては、アートと文化の違いや、行政がアートをどう活性化させるのか?といった質問が発せられ、それに対して文化は計画性が、アートは創造性が本質であり、また成果だけではなくプロセスも重要であるということが議論されました。その他、「生贄」と現代のイジメとの関係、作家の自己主張とワガママの区別、芸術における「新しさ」とは?といった多彩な質問が出され、時間を少し延長して活発な議論が行われました。

最後に土佐教授から、この2年間のおもろトークで行った、アートな京大を目指して、アートとは何かを探索したフィールドワークのまとめと、京大おもろトーク出版化のお知らせがありました。

内丸部長と山極総長の対談

講演をする小松所長

講演をする松尾代表

講演をする吉岡特定教授

ディスカッションの様子

関連リンク

京都大学オープンコースウェアにて講演映像を公開しています。