研究者情報
研究者名
甲斐 歳恵
研究者名
井木 太一郎
概要
京都大学大学院生命科学研究科 甲斐歳恵 教授(兼:大阪大学大学院生命機能研究科 教授)、 大阪大学大学院生命機能研究科 井木太一郎 准教授(研究当時、現:京都大学大学院生命科学研究科 特定准教授)、一色和奏 同博士課程学生(研究当時)らの研究グループは、次世代へ受け継がれる生殖細胞のゲノムをトランスポゾン(転移因子)と呼ばれる侵略者から守る分子機構を解明しました。ゲノムにはトランスポゾンが沢山挿入されており、それらの多くは生殖細胞と呼ばれる、種の維持に不可欠な細胞群で活性化します。トランスポゾンの活動が過剰になると、ゲノムは損傷を蓄積して頑健性を失い、生殖細胞は正常に配偶子(卵や精子)を形成できなくなります。種の維持の脅威であるが、ときには役立つトランスポゾンを、生殖細胞はPIWIタンパク質とPIWIと結合するpiRNAに監視させ、上手に飼い慣らしています。piRNA経路の解明を目指した本研究は、PIWIと相互作用する因子をショウジョウバエの卵巣にある生殖細胞で探索し、Set1というヒストン修飾酵素を同定しました。piRNAはゲノムの特定の場所から産生されるのですが、Set1がpiRNAの産生源を確立していることが分かりました。本研究成果は、国際誌な総合科学誌「EMBO Reports」に8月26日に掲載されました。なお、本研究は評価され雑誌の表紙も飾ります。
研究者のコメント
「研究を開始した当初は、PIWIを修飾する酵素の同定などを期待してPIWI近傍の因子群を探索していました。ところが、期待通りに研究は進まないもので、私たちはSet1と出会い、その解析を進めることになりました。つくづく人智は及びません。私はSet1には目もくれないばかりか、piRNA経路の既知因子であるSetDB1という似た名前の因子が同定されたのだと勘違いする始末でした。経験や知識で曇った眼に目薬をさしながら研究に取り組みます。」(井木太一郎)