寄生虫の行動操作は河川に栄養素をもたらす―物質循環を駆動するメカニズムの解明に期待―

ターゲット
公開日

研究者情報

研究者名

目戸 綾乃

概要

 目戸綾乃京都大学生態学研究センター研究員(研究当時、現北海道大学大学院地球環境科学研究院助教)と佐藤拓哉同センター教授は、ハリガネムシに寄生、行動操作されたカマドウマが河川に飛び込み、イワナに食べられることで、動物の重要な栄養素であるエイコサペンタエン酸(EPA)が陸域から水域へ輸送されることを明らかにしました。生態系をまたぐ栄養素の循環に寄生生物が関わることを示す世界初の成果です。

 本研究の成果は、2026年7月7日午前8時30分(米国東部時間)に国際学術誌「PNAS Nexus」にオンライン掲載されました。

画像
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ハリガネムシに寄生・行動操作されたカマドウマによる陸域から水域へのEPAフローの概要。(イラスト:目戸綾乃)

研究者のコメント

「とても特徴的なフォルムをしているカマドウマとハリガネムシ。苦手な方も多いと想像します。本研究により、ハリガネムシに行動操作されたカマドウマが、川にすむ動物にEPAという栄養素をもたらすことがわかりました。ハリガネムシによって川へ運ばれてくるカマドウマは、イワナにとっては天(森)から舞い降りる最高のごちそうに見えているかもしれません。」(目戸綾乃)

「京都大学フィールド科学教育研究センターで学振ポスドクをしていた2011年に、ハリガネムシによる宿主の行動操作によって森から川へのエネルギー流が生じることを発表しました。それから15年、当時の定量データを活かして、行動操作がこれまで見過ごされていた森から川への必須栄養素の流れにも関わっていることを示せました。当時、昼夜問わず歩き回った川や森の情景が思い出されました!」(佐藤拓哉)