心房細動という不整脈は、高齢社会における「国民病」ともいえる疾患です。心房細動があると心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなり、それが血管内を流れて脳血管に詰まって脳梗塞を引き起こします。脳梗塞は死亡や寝たきりの主な原因の一つであり、高齢化が進む日本では大きな問題となっています。
現在、心房細動による脳梗塞を防ぐために「抗凝固薬」、いわゆる「血液サラサラの薬」が広く使われています。しかし、この薬を飲んでいても脳梗塞を起こしてしまう人が一定数存在します。また、一般的には心房細動が先に見つかり、その後脳梗塞を起こす人が多いのですが、実は脳梗塞を起こした後に初めて心房細動が見つかる人も少なくありません。
江頭柊平 医学研究科博士課程学生、井上浩輔 同教授、今中雄一 同教授、古賀政利 国立循環器病研究センター部長、戸田達史 国立精神・神経医療研究センター院長らの研究グループは、心房細動を伴う脳梗塞患者約2万人を追跡し、「いつ心房細動が見つかったか」「血液サラサラの薬を飲んでいたか」によって、脳梗塞の再発リスクが大きく異なることを明らかにしました。
5年間の再発率は、薬を飲んでいたのに脳梗塞になった人で約5人に1人、脳梗塞後に初めて心房細動が見つかった人では約10人に1人と、2倍近い差がありました。この結果は、「心房細動を伴う脳梗塞」を一括りにせず、タイプ別に治療戦略を考える必要性を示しています。
本研究成果は、2026年6月18日に、国際学術誌「Neurology」に掲載されました。
研究者のコメント
「今回の分類は、特別な検査を必要とせず、問診だけで決まります。それでも予後がここまで大きく異なるということが広く認識され、AFIDAやAFDASという概念が根付くきっかけになればと思います。」(江頭柊平)