オオサンショウウオ交雑個体の遺伝子鑑定精度を再評価 

ターゲット
公開日

 西川完途 人間・環境学研究科教授、松井正文 名誉教授、原壮大朗 人間・環境学研究科特定助教、福谷和美 同博士後期課程学生(研究当時)、松原康平 同修士課程学生(研究当時)、福山伊吹 北海道大学特任助教、吉川夏彦 国立科学博物館研究員、江頭幸士郎 北九州市立自然史・歴史博物館学芸員、富永篤 琉球大学教授らの研究グループは、西日本で深刻な問題になっているオオサンショウウオ交雑個体の遺伝子鑑定で、従来用いられてきたマイクロサテライトマーカー(SSR)による遺伝鑑定の精度をより高精度な一塩基多型(SNP)に基づく手法で再評価し、従来手法では詳細な遺伝子鑑定には限界があり、特に交雑の進んだ個体の検出には不十分であることを明らかにしました。

 外来種と在来種の交雑は生物多様性保全における深刻な問題です。日本では、特定外来生物であるチュウゴクオオサンショウウオと在来種で国の特別天然記念物であるオオサンショウウオとの交雑が確認されています。近年では、京都府を中心に、愛知県から広島県までの広い地域で交雑個体が見つかっており、大きな問題となっています。本研究では、この交雑個体の識別に従来用いられてきたマイクロサテライトマーカーの精度を、ゲノム全体から得られた一塩基多型データと比較して再評価しました。京都市で採集した130個体を解析した結果、マイクロサテライトマーカーを用いた場合の外来種や交雑個体の各遺伝子型の識別精度は最大でも約64〜77%にとどまり、特に遺伝子座数が少ない場合には交雑個体を在来種と誤判定する傾向が明らかとなりました。また、従来の手法でも在来種の識別精度は比較的高かったものの、交雑が進んだ個体の検出には限界がありました。本成果は、オオサンショウウオの保全戦略の策定に重要な指針を提供する大きな成果と言えます。

 本研究成果は、2026年5月8日に、国際学術誌「Limnology」にオンライン掲載されました。

画像
2605-main-nisikawa.jpg
特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオ
研究者情報
研究者名
松井 正文
研究者名
Sotaro Hara
研究者名
Kazumi Fukutani
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s10201-026-00844-w

【書誌情報】
Ibuki Fukuyama, Natsuhiko Yoshikawa, Koshiro Eto, Masafumi Matsui, Atsushi Tominaga, Kazumi Fukutani, Kohei Matsubara, Sotaro Hara, Kanto Nishikawa (2026). Reevaluation of the genetic identification accuracy using SSR markers of giant salamander hybrids by SNP analysis. Limnology.