大越香江 医学研究科客員研究員、所為然 同博士課程学生、肥田侯矢 同客員研究員(研究当時:同准教授)、水野良祐 同博士課程学生、山本洋介 同教授、小濵和貴 同教授、深見佳代 鳥羽商船高等専門学校准教授らの研究グループは、日本の病院勤務医を対象とした全国規模のウェブ調査により、時間配分と収入にみられるジェンダー差を明らかにしました。
医師の働き方改革や人材確保が課題となるなか、家事や育児などの無償ケア労働の負担が医師の働き方やキャリアにどのように関連するかは、これまで十分に検討されてきませんでした。そこで、解析条件を満たした2,540人のデータを用いて検討したところ、年齢や家族構成、診療科などを考慮した後も、女性医師は男性医師に比べて無償ケア労働に多くの時間を割く一方、有償労働時間、余暇や自己研鑽に充てる時間が短いことが示されました。さらに、年齢、婚姻状況、末子年齢、診療科に加えて平日の労働時間も考慮した後も、女性医師では年収1,500万円以上である割合が男性医師より低いことが示されました。
本研究は、医師の働き方や収入に見られるジェンダー差に無償ケア労働の偏りが関連している可能性を示すものです。これらの知見は勤務環境や家庭状況も踏まえ、性別による役割分担の偏りを軽減し、性別にかかわらずより公平に働き続けられる勤務制度や支援策のあり方を検討する必要性を示唆します。
本研究成果は、2026年5月20日に、国際学術誌「BMC Health Services Research」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「子ども達がまだ小さい頃、私は時短で働いていました。同僚の医師たちが夜遅くまで働く中、自分だけが先に帰宅することを心苦しく感じていました。そのことを当時の共同研究者であった久本憲夫先生(当時京都大学大学院経済学研究科教授、現名誉教授)にお話ししたところ、『家に帰って遊んでいるわけではありませんよね。家事や育児をしているのだから、それも仕事です。お金を稼ぐ仕事だけが仕事ではありません』と励ましていただきました。そのことが私の研究の支えになっています。」(大越香江)