クラゲに寄生するフジツボのなかま―クラゲエボシの生態と進化の道すじ―

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 フジツボのなかまには「エボシガイ」と呼ばれる、甲殻類のなかまや魚、流木などさまざまなものに付着して暮らす仲間がいます。

 山守瑠奈 フィールド科学教育研究センター助教、遊佐陽一 奈良女子大学教授、平林勲 東北大学技術職員、渡部裕美 海洋開発機構准研究主任による研究グループは、大型クラゲ類に付着して暮らすエボシガイ「クラゲエボシ」Alepas pacificaについて、食性などの生態や系統を明らかにしました。クラゲエボシは、風来坊のクラゲとともに暮らしているため、狙って採集することが困難で、その生態はほとんどわかっていませんでした。今回の研究では、脚や顎などの詳しい形態観察や遺伝子の解析から、クラゲエボシがカニや魚に付着して生活するエボシガイに近縁なことがわかりました。また、野外でのクラゲエボシの生態の観察と室内での飼育実験から、本種が宿主のクラゲの触手を食べていることがわかりました。エボシガイのなかでは、このような宿主自体を食べる生態は珍しいものです。

 本研究成果は、2026年5月14日に、国際学術誌「Crustaceana」にオンライン掲載されました。

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左:ユウレイクラゲ(大きさは30cmほど)、右:宿主クラゲの触手を捕食するクラゲエボシ(大きさは2cmほど)。撮影:平林勲。

研究者のコメント

「私は高校生の頃、クラゲが大好きで部活動でクラゲの研究をしており、あだ名が『くらげ』でした。多分、クラスメイトの多くは私の本名を知らないのではないでしょうか。大学学部でも同じく。大学院ではクラゲからすっかり離れてウニや貝をはじめ、いろいろな海洋生物の共生系の研究にいそしんでいましたが、共生を通してついにクラゲに帰ってきました。これで、名実共に『くらげ』ですか? ちがう、名は不要でした。私の名前は――。」(山守瑠奈)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1163/15685403-bja10528

【書誌情報】
Luna Yamamori, Isao Hirabayashi, Hiromi K. Watanabe, Yoichi Yusa (2026). Phylogenetic position of the jellyfish-parasitising stalked barnacle Alepas pacifica (Cirripedia, Lepadoidea, Heteralepadidae) and its feeding on the host's tentacles. Crustaceana, 99, 5, 629-645.