サルの好奇心:「ほどよく不確実」な刺激を自ら探索する―飼育動物向けビデオゲーム開発にもつながる知見―

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 ビデオゲームは単なる娯楽にとどまらず、認知機能のトレーニングや生活の質(QOL)の向上にも役立つものとして注目されています。実験室や動物園で飼育されている動物、さらにはネコやイヌなどのペットが、好奇心をもって積極的に取り組めるビデオゲーム課題を開発できれば、生活環境の改善などを通じて、動物福祉への貢献が期待されます。

 壹岐朔巳 白眉センター/ヒト行動進化研究所特定助教、服部裕子 ヒト行動進化研究所助教、足立幾磨 同准教授、岩沖晴彦 量子科学技術研究開発機構研究員の研究チームは、タッチパネル上で行われる「かくれんぼ型ゲーム課題」を用いて、サルの好奇心を引き出す刺激の特徴を調べました。このゲームでは、タッチパネル上のボタンを押すと、ボタンの種類に応じてパネル上の異なる位置にキャラクターが現れます。実験の結果、ニホンザルは、複数種類のボタンの中でも「中ノイズボタン」(ある程度は予測可能でありながら適度に不確実な位置にキャラクターが現れるボタン)を特に押して、その結果を探索する傾向を示しました。この結果は、サルが「ほどよい不確実さ」をもつ刺激を能動的に探索する認知的傾向をもつことを示しています。将来的には、本研究で得られた知見を応用し、動物の好奇心を引き出す刺激や出来事を盛り込んだゲーム課題の開発に寄与することが期待されます。

 本研究成果は、2026年4月18日に、国際学術誌「iScience」にオンライン掲載されました。

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結果の概要:ニホンザルは「ほどよく不確実」な刺激を探索する傾向を示した。作成:壹岐朔巳(一部GPT-5.4を使用)

研究者のコメント

「私自身はもともと野生のサルの遊び行動を研究していたこともあり、実験室の中でもサルの遊びが自然に生じるような状況を作り出したいと考えてきました。今後は、さらに強くサルの好奇心を引き出すビデオゲームを開発するとともに、ゲームを体験しているサルが実際に楽しみ、ポジティブな情動を経験しているのかどうかを調べる研究も進めていきたいと考えています。」(壹岐朔巳)