藤井悠里 人間・環境学研究科助教、荻原正博 中国・上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)准教授、堀安範 岡山大学准教授の研究グループは、惑星の表面磁場強度の違いに着目し、木星と土星の周りの巨大衛星に関する謎を解くシナリオを提唱しました。形成直後のガス惑星の内部構造をシミュレーションし、惑星表面における磁場強度を計算しました。そして、惑星の周りのガスの流れを詳細に解析し、円盤状に回転するガスの中での衛星の形成とその軌道進化を国立天文台の「計算サーバ」を用いた数値シミュレーションによって研究しました。表面磁場強度が強い木星では、磁気圏降着という、木星の磁場に沿ったガスの流れが生じる一方、土星は磁場が弱いため、磁気圏降着が起きません。この違いが、惑星近くに4つの巨大衛星をもつ木星と、惑星から離れた位置にひとつだけ巨大衛星をもつ土星という、衛星系の違いの謎を解く鍵になります。この成果は、今後の系外衛星の探査において発見が期待される衛星系の構造の予想にも役立ちます。
本研究成果は、2026年4月2日に、国際学術誌「Nature Astronomy」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「木星と土星の質量の違いが惑星表面での磁場強度の違いを生み、それによって巨大衛星系の違いを説明できることを初めて示しました。太陽系の外にはまだ衛星は発見されていませんが、将来の発見に向けた探査計画で探るべきパラメータの選定に役立つことを期待します。」
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41550-026-02820-x
【書誌情報】
Yuri I. Fujii, Masahiro Ogihara, Yasunori Hori (2026). Different architecture of Jupiter and Saturn satellite systems from magnetospheric cavity formation. Nature Astronomy.