シュニッツラー症候群に共通する遺伝子異常を同定―B細胞の一部に生じるMYD88遺伝子の後天的変異が発症に関与―

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 シュニッツラー症候群は、蕁麻疹様皮疹と単クローン性IgM血症に加え、発熱や関節痛などの全身症状を伴う成人発症の疾患であり、その発症機序はこれまで明らかになっていませんでした。

 このたび、周瑜仪(ZHOU Yuyi) 医学研究科博士課程学生、神戸直智 同准教授(現:医学部附属病院研究員、兵庫医科大学准教授)らの研究グループは、医学研究科小児科学、血液内科学、腫瘍生物学との共同研究として、カナキヌマブ(商品名:イラリス®)の有効性と安全性を検証する医師主導治験(jRCT2051220139)に組み込まれ、IL-1βを標的とした治療が奏功した5症例と、医学部附属病院を受診した2症例の計7症例を解析しました。その結果、解析した7症例すべてで、B細胞の一部においてMYD88遺伝子の体細胞変異が存在することを明らかにしました。

 本成果は、これまで他の自己炎症性疾患と多くの臨床的特徴を共有し、またIL-1を標的とする薬剤が有効であることから後天発症の自己炎症性疾患として位置づけられてきたシュニッツラー症候群の発症機序の解明につながる重要な発見です。また、成人期に発症する発熱性疾患において体細胞モザイク変異の関与を示した点で、疾患発症の理解に新たな視点を提供するものです。

 本研究成果は、2026年4月7日に、国際学術誌「Allergy」にオンライン掲載されました。

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シュニッツラー症候群患者のB細胞の一部に、MYD88遺伝子の体細胞変異が共通して確認された。一方、他の血球細胞では遺伝子変異は確認されなかった。(© 2026 Naotomo Kambe. Image created in BioRender)

研究者のコメント

「私たちの研究グループは、自己炎症性疾患の一つであるクリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)において、体細胞モザイク変異の存在を世界で初めて報告しました。近年では、他の研究者によって同様の概念に基づく疾患としてVEXAS症候群が同定されるなど、自己炎症性疾患における体細胞モザイク変異の重要性が認識されるようになってきています。今回の研究成果は、これまで臨床症状や治療反応性、特にCAPSとの類似性から自己炎症性疾患として理解されてきたシュニッツラー症候群に対して、『細胞系譜特異的な体細胞モザイク変異によって駆動される自己炎症性疾患』という新たな概念的理解を与えるものです。」(神戸直智)

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