関節マクロファージの炎症惹起機構を解明―関節リウマチの新たな治療法開発に期待―

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 向山宙希 医生物学研究所研究員、渡邊仁美 同助教、近藤玄 同教授、廣田圭司 同准教授らの研究グループは、自己免疫性関節炎において慢性的な炎症と痛みを引き起こす新たな仕組みを解明しました。

 関節リウマチは免疫細胞が炎症を誘導し関節の痛みや腫れを引き起こす疾患です。マクロファージが炎症に重要であることは知られていましたが、どのように制御されているかはわかっていませんでした。

 本研究グループは関節炎モデルマウスを用いて、骨髄から移動してきた炎症性単球が関節内で「炎症」と「痛み」を担う、機能の異なる集団へ分化することを突き止めました。この分化を制御するのが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)という物質です。特にEpCAM+マクロファージが痛みを誘発する因子を特異的に放出していました。今回の成果は、関節リウマチの慢性炎症の制御の仕組みを細胞レベルで解明したものであり、炎症や痛みを抑制する新しい治療法の開発につながる可能性が期待されます。

 本研究成果は、2026年3月25日に、国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。

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骨髄から血液中を移動してきた炎症性単球は関節に入るとGM-CSFの作用を受けてArg1⁺およびEpCAM⁺マクロファージに分化し関節の炎症増幅に関わる。特にEpCAM⁺マクロファージはCCL17を介して痛みにも関わっている。(作者:向山宙希)

研究者のコメント

「臨床の現場で疑問に感じていた関節リウマチでマクロファージが病原性を獲得する仕組みを解明することができました。治療が発達した現代でも治療困難な関節リウマチ患者さんも少なくないため、マクロファージを標的とした新規治療法の開発をすることができれば、患者さんの役に立つかもしれません。今回の研究成果を臨床に役立てることができるよう、今後さらに研究を進めていきたいと考えています。」(向山宙希)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1126/sciadv.aec0986

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/300001

【書誌情報】
Hiroki Mukoyama, Yusuke Takeuchi, Daiya Ohara, Yoonha Lee, Hitomi Watanabe, Hiroki Kato, Gen Kondoh, Akio Morinobu, Keiji Hirota (2026). Pathogenic GM-CSF drives functional diversification of inflammatory macrophages in autoimmune arthritis. Science Advances, 12, 13, eaec0986.

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