人とのつながりは、家庭や職場、地域といった社会的な環境の中で形づくられるものと考えられてきました。しかし同じ地域や職場にいても、家族や友人とのつながりの広がり方には個人差がみられます。その背景にどのような要因が関連しているのかを検討するため、日本の一般住民6万人以上を対象に、遺伝情報を用いた大規模な解析を行いました。
井上浩輔 医学研究科教授、近藤尚己 同教授、栗山進一 東北大学教授らの研究グループは、家族や友人との実際のやり取りの頻度や人数を質問票で数値化し、その情報と数百万か所に及ぶ遺伝情報を統計的に照らし合わせるゲノムワイド関連解析を行うことで、社会的孤立との関連を網羅的に探索しました。その結果、社会的孤立と関連する遺伝的特徴が見いだされ、脳や神経の働きと関係することが知られている遺伝子の関与が示唆されました。一方で、社会的孤立にみられる個人差の大部分は遺伝以外の要因によって説明できることもわかりました。遺伝の寄与の度合いは小さいものの環境要因だけでなく、生物学的な個人差の関与があることが明らかとなりました。「孤立しやすさ」の理解の促進が期待されます。
本研究成果は、2026年2月17日に、国際学術誌「Translational Psychiatry」に掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41398-026-03896-9
【書誌情報】
Hisashi Ohseto, Kosuke Inoue, Ippei Takahashi, Taku Obara, Akira Narita, Mami Ishikuro, Masatsugu Orui, Keiko Murakami, Aoi Noda, Genki Shinoda, Masato Takase, Naoki Nakaya, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Kumi Nakaya, Ippei Chiba, Sayuri Tokioka, Yuka Kotozaki, Atsushi Shimizu, Kozo Tanno, Atsushi Hozawa, Gen Tamiya, Naoki Kondo, Shinichi Kuriyama (2026). Genome-wide association study of social isolation in 63,497 Japanese individuals from the general population. Translational Psychiatry.