カツオの眼球の分析から回遊履歴を推定する手法の開発に成功

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 海洋生物の生涯にわたる移動を追跡することは、生態学および水産科学における大きな課題です。特にかつお・まぐろ類のような外洋を回遊する魚類は、ときには数千kmに及ぶ長距離移動をするため、その回遊生態の把握は困難を極めていました。

 これまで海洋生物の移動を追跡するために用いられてきた電子標識を用いたバイオロギング手法は、高コストであり、小型個体への適用が難しく、バッテリーの寿命による追跡期間の制限があることから、個体の生涯にわたる移動を捉えるには至りませんでした。

 千田哲朗 フィールド科学教育研究センター博士課程学生(元・水産研究・教育機構水産資源研究所研究等支援職員)、松林順 福井県立大学准教授、水産研究・教育機構、東北大学の研究チームは、バイオロギングの課題克服として、カツオの眼球にある水晶体に蓄積された同位体比を解析することで、その個体が孵化してから漁獲されるまでの回遊履歴を推定する手法を開発しました。

 この手法を中西部太平洋で漁獲されたカツオ33個体に適用し、回遊経路を推定しました。

 調査の結果、海域ごとに様々な回遊パターンがあることが分かりました。特に、熱帯域で漁獲されたカツオは全て熱帯域付近に留まっていましたが、日本近海で漁獲された個体は熱帯域から北上回遊してきた個体が含まれていることが明らかになりました。これは、熱帯域のカツオ個体群において、滞留型と回遊型の2つのパターンがあり、部分回遊が存在していることを示しています。

 今後、本手法を多数のカツオに適用することで、日本に来遊するカツオ資源の生態や変動機構等を明らかにできると考えています。

 本研究成果は、2025年11月18日に、国際学術誌「Methods in Ecology and Evolution」に掲載されました。

画像
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カツオの水晶体を顕微鏡下で切片にする様子(A)、水晶体(B)と切片にした後の水晶体の中心部(C)。中心部には、孵化時期の同位体比が記録されている。
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1111/2041-210x.70201

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/299488

【書誌情報】
Jun Matsubayashi, Yutaka Osada, Katsuya Kimura, Yoshinori Aoki, Makoto Okazaki, Tetsuro Senda, Yuya Ueda, Naoto Matsubara, Yuichi Tsuda (2026). Fine-scale reconstruction of pelagic fish migration by iso-logging of eye lens. Methods in Ecology and Evolution, 17, 1, 77-84.