果実発達の新たなルールを発見―機械学習と三次元解析による果実成長の可視化―

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 西山総一郎 農学研究科助教(兼:農業・食品産業技術総合研究機構主任研究員)、田尾龍太郎 同教授、山根久代 同教授、久住あかね 同博士課程学生、新保彩萌 同修士課程学生の研究グループは、板井章浩 京都府立大学教授、森本拓也 同准教授との共同研究により、様々な果樹における果実の三次元成長を可視化し、果実発達に共通する成長様式の存在を明らかにしました。

 本研究では、果実の先端から基部にかけた部位ごとの成長を三次元的に解析することで、果実形状がどのように形成されるのかを明らかにしました。まず多様な形を持つカキを対象に、果実表面に付した指標点の移動を解析した結果、いずれの品種でもヘタ側の成長が特に活発で、先端部に向かうにつれて成長が緩やかになる共通した成長勾配が確認されました。さらに、果実の形が異なる品種間では、この成長勾配の強さに違いがあることも明らかになりました。加えて、機械学習を用いた新しい三次元再構築手法である3D Gaussian Splattingを導入し、果実成長を非破壊的に連続観察する手法を確立しました。この手法をモモやリンゴなど複数のバラ科果樹に適用したところ、一貫して果柄側の成長が優位であるという共通性が見いだされました。一方、セイヨウナシでは先端側の成長も顕著であり、形状に関連した果樹種ごとに異なる発達様式の存在が示されました。

 本研究成果に基づく二編の学術論文は、2025年9月18日に国際学術誌「Scientia Horticulturae」、2026年1月9日に国際学術誌「Plant Phenomics」に掲載されました。

画像
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(左)京都大学附属農場・京都農場に保存されている多様な形状のカキ(写真提供:久住あかね)、(右)3D Gaussian Splattingによりモデル化したバラ科果樹(写真提供:新保彩萌)

研究者のコメント

「園芸の現場では果実全体の大きさが重視される一方で、果実の中の『どの部分がどれだけ育っているか』という点は、これまで十分に捉えられてきませんでした。本研究では、その見過ごされがちだった成長の偏りを三次元的に可視化できました。今後は、樹全体や栽培管理との関係も含めて成長を捉え、園芸研究の新しい展開を提示できるように、さらなる研究に邁進したいと考えております。」

研究者情報
研究者名
Akane KUSUMI
研究者名
Ayame Shimbo
書誌情報
  • 書誌情報1
    【DOI】
    https://doi.org/10.1016/j.scienta.2025.114401
    【KURENAIアクセスURL】
    http://hdl.handle.net/2433/298113
    【書誌情報】
    Akane Kusumi, Soichiro Nishiyama, Hisayo Yamane, Ryutaro Tao (2026). Spatially resolved analysis of longitudinal fruit growth in persimmon (Diospyros kaki) via three-dimensional phenotyping. Scientia Horticulturae, 351, 114401.
  • 書誌情報2
    【DOI】
    https://doi.org/10.1016/j.plaphe.2026.100166
    【書誌情報】
    Ayame Shimbo, Soichiro Nishiyama, Akane Kusumi, Takuya Morimoto, Hisayo Yamane, Akihiro Itai, Ryutaro Tao (2026). Spatially resolved analysis of growth dynamics in pome and drupe fruits of Rosaceae using 3D Gaussian Splatting. Plant Phenomics.
メディア掲載情報

日本経済新聞(2026年3月3日 22面)に掲載されました。