細胞・遺伝子治療の35年の研究動向を分析―モダリティの成熟度や国際連携効果を可視化―

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 細胞・遺伝子治療は革新的な治療法として期待されています。イノベーションを加速するうえでは、この領域における経年的な発展を定量的に評価することが不可欠ですが、従来、そのような分析は十分に行われてきませんでした。

 永井純正 医学部附属病院教授らの研究グループは、アーサー・ディ・リトル・ジャパンらと共同で、過去35年間に発表された関連論文を基に、モダリティの発展や、国別の貢献、国際共同研究による影響を分析しました。その結果、造血幹細胞移植やex vivo遺伝子治療と比較して、間葉系幹細胞治療やin vivo遺伝子治療は、臨床への移行が停滞している実態が明らかになりました。国別には、米国や中国が量・質の両面で領域を牽引しているのに対し、日本は細胞治療における論文数で一定の貢献をしているものの質的影響力が低迷していることが示されました。さらに、国際共同研究は高インパクトの論文につながりやすく、欧米の連携や欧州内の強い結びつきが確認されました。この成果によりモダリティ別の成熟度やボトルネックが可視化され、今後の研究資源配分や国際連携の方向性を定める上で重要な基盤になることが期待されます。

 本研究成果は、2026年1月10日に、国際学術誌「Cytotherapy」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「京都大学医学部附属病院はAMED再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラムの規制・社会実装支援課題の代表機関として、同プログラムに採択されている研究課題に対して知財や薬事等の伴走支援を行っています。それだけでなく、分担機関となっているアーサー・ディ・リトル・ジャパンとともに、再生・細胞医療・遺伝子治療における日本の強みを社会実装により効果的につなげられるよう、国際開発動向等の調査研究も行っています。今回の論文発表はその成果の一つです。」(永井純正)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.jcyt.2026.102056

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/299460

【書誌情報】
Yuki Kitahara, Hiroaki Koda, Junya Kataoka, Kumiko Tatsumi, Ryo Nishino, Tohru Yoshioka-Kobayashi, Sumimasa Nagai (2026). Advancement in cell and gene therapy research: A 35-year bibliometric perspective. Cytotherapy, 28, 4, 102056.

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