CAR-T細胞療法のバイオマーカーを発見―急性リンパ性白血病の治癒率向上に期待―

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 キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T細胞療法)は、患者さんから免疫細胞であるT細胞を取り出し、遺伝子操作でがん細胞を認識する受容体を導入して体内に戻すがん免疫療法です。日本では2019年に小児・若年成人の急性リンパ性白血病の治療として承認され、病気の治癒を目指す治療法として注目されています。

 滝田順子 医学研究科教授、平松英文 同講師(現:近畿大学講師)、加藤格 同講師、三上貴司 同特定研究員(現:同特定助教)、高折晃史 同教授、James Badger Wing 大阪大学教授らの研究グループは、再発難治性の前駆B細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)に対するCD19 CAR-T細胞療法(tisagenlecleucel)において、CAR-T細胞の性質を詳細に解析し、治療が良く効く患者さんのCAR-T細胞製剤にはCD38-CD73-Tim-3-HLA-DR+という特徴を持ったCAR-T細胞が多く含まれることを発見しました。このCAR-T細胞は免疫を抑えるアデノシンという代謝産物の産生が少なく、長期間生存するメモリーT細胞の性質を持っており、がん細胞を効果的に排除できると考えられます。

 本研究成果は、2026年1月23日に、国際学術誌「Cell Reports Medicine」にオンライン掲載されました。

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CD19 CAR-T細胞(tisagenlecleucel)を投与されたBCP-ALL患者のマルチオミックス解析の概要(BioRenderで作成。作者:三上貴司(https://BioRender.com/5zpwet9)、ライセンス: CC BY 4.0。)

研究者のコメント

「CAR-T細胞療法が一人でも多くの患者さんの希望となるように、引き続きがん免疫の観点から新たな治療の革新を目指して努力していきたいと思います。」(三上貴司)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2025.102576

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/299518

【書誌情報】
Takashi Mikami, Itaru Kato, Mara Anais Llamas-Covarrubias, Hidefumi Hiramatsu, Yoshinori Uchihara, Takaya Mitsuyoshi, Toshio Kitawaki, Satoshi Saida, Katsutsugu Umeda, Seishi Ogawa, Akifumi Takaori-Kondo, James Badger Wing, Junko Takita (2026). CAR-T cells with the CD38⁻CD73⁻Tim-3⁻HLA-DR⁺ phenotype predict the efficacy of tisagenlecleucel as a treatment for B cell precursor ALL. Cell Reports Medicine, 7, 2, 102576.