近藤祥司 医学研究科准教授、三河拓己 同研究員、亀田雅博 同特定助教らの研究グループは、新規の老化細胞除去(セノリシス)による個体老化の症状改善を見出しました。個体老化における組織機能低下は、「レジリエンス(回復力、しなやかな弾性)」の低下が原因と考えられます。個体老化と共に蓄積する「老化細胞」は、若い細胞より死ににくく、炎症性サイトカインを放出し、「レジリエンス」を低下させます。「レジリエンス」回復の方法として、老化細胞除去「セノリシス」が、注目されています。近藤准教授らは、老化細胞では、解糖系酵素PGAMとシグナル伝達キナーゼChk1の異常なタンパク結合亢進により、解糖系代謝亢進し、老化細胞の生存能が高まる事を見出しました。PGAMとChk1の結合を阻害すると、老化細胞選択的な細胞死(アポトーシス)が誘導され、「慢性炎症」が減少し、老化症状が改善しました。代表的な難治性加齢性疾患の一つである「肺線維症モデル」においても、PGAMとChk1の結合阻害によるセノリシスにより、症状が改善し、加齢性疾患の新たな治療法としての有効性が示されました。
本研究成果は、2025年12月15日に、国際学術誌「Signal Transduction and Targeted Therapy」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「25年間、『老化と解糖系代謝研究』を続けてきて、今回ようやく社会還元できる発見に結びつきました。これまで、研究を支えてくれた全ての関係者に感謝申し上げます。私が老年内科医として接してきた全ての高齢患者も、私にとっては『教科書』であり『研究動機』でした。ありがとうございました。本成果を社会実装化し、人類の健康に貢献することが、これからの我々の目標です。」(近藤祥司)
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41392-025-02502-6
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/298780
【書誌情報】
Takumi Mikawa, Masahiro Kameda, Sumiko Ikari, Eri Shibata, Shuyu Liu, Sawa Miyagawa, Koh Ono, Tomiko Ito, Akihiko Yoshizawa, Masataka Sugimoto, Shuichi Shibuya, Takahiko Shimizu, Julio Almunia, Noboru Ogiso, Gwladys Revêchon, Alberta Palazzo, David Bernard, Hiroaki Kanda, Tomoyoshi Soga, Keiyo Takubo, Shin Morioka, Junko Sasaki, Takehiko Sasaki, Akihiro Itamoto, Takayuki Fujii, Hiroshi Seno, Nobuya Inagaki, Hiroshi Kondoh (2025). Abrogation of aberrant glycolytic interactions eliminates senescent cells and alleviates aging-related dysfunctions. Signal Transduction and Targeted Therapy, 10, 402.
朝日新聞(2026年1月30日夕刊 8面)、読売新聞(2026年1月10日 8面)に掲載されました。