飛松裕基 生存圏研究所教授、吉田聡子 奈良先端科学技術大学院大学教授、峠隆之 同教授、白須賢 理化学研究所副センター長らの共同研究グループは、寄生植物が「自分や近縁の仲間に寄生しない」仕組みを分子レベルで初めて明らかにしました。
寄生植物は世界で年間10億ドル以上という大きな農業被害をもたらす深刻な雑草です。一方で、寄生植物は自分自身や近縁の寄生植物には寄生しないという不思議な性質を持っています。今回、共同研究グループは、モデル寄生植物コシオガマの変異体の解析から、その「自己回避」現象を担う配糖化酵素を同定しました。この酵素は、寄生を開始する合図となる物質に糖を付加して寄生シグナルを不活性化します。この酵素が壊れた変異体では、寄生植物自身の代謝物に反応し、宿主がいない状態でも寄生器官を形成してしまいます。本成果は、寄生植物が自己寄生を防いで効率的に宿主を見分ける仕組みを初めて分子レベルで明らかにしたものであり、寄生雑草の新たな防除戦略につながる可能性があります。
本研究成果は、2025年10月23日に、国際学術誌「Science」に掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1126/science.adx8220
【書誌情報】
Lei Xiang, Songkui Cui, Simon B. Saucet, Moe Takahashi, Shoko Inaba, Bing Xie, Mario Schilder, Shota Shimada, Mengqi Cui, Yanmei Li, Mutsumi Watanabe, Yuki Tobimatsu, Harro J. Bouwmeester, Takayuki Tohge, Ken Shirasu, Satoko Yoshida (2025). Glucosylation of endogenous haustorium-inducing factors underpins kin avoidance in parasitic plants. Science, 390, 6771, 405-410.