オオサンショウウオの化石から抽出したDNAの解読に成功―日本固有種の地域絶滅が明らかに―

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 野田昌裕 人間・環境学研究科博士課程学生、西川完途 地球環境学堂教授、岸田拓士 日本大学教授、北川浩之 名古屋大学教授、福山伊吹 北海道大学日本学術振興会特別研究員(PD)からなる研究グループは、愛媛県大洲市で発見されたオオサンショウウオの化石から古代DNAを抽出し、得られたミトコンドリアDNAの部分配列が日本固有種と完全に一致することを確認しました。また、放射性炭素年代測定の結果から、これらの化石は約4,100~3,500年前のものであることが明らかとなりました。現在の四国には日本固有種の個体群がわずかに確認されていますが、遺伝的特徴から人為移入の可能性があり、化石の発見地点とは大きく離れた地域に生息しています。今回の結果から、四国西部にかつては野生個体が生息しており、ごく最近になって絶滅したことが明らかとなりました。

 本研究成果は、2025年6月9日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント
「日本から発見されたオオサンショウウオの化石を用いて研究成果を発表できたことを嬉しく思います。近年、生息地環境の破壊や中国原産種との交雑問題などで日本固有種オオサンショウウオの絶滅が危惧されていますが、地道な基礎研究の積み重ねが彼らの保全に繋がることを願っています。」(野田昌裕)
研究者情報
研究者名
野田 昌裕
書誌情報
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/294608

【書誌情報】
Masahiro Noda, Takushi Kishida, Hiroyuki Kitagawa, Ibuki Fukuyama, Kanto Nishikawa (2025). Ancient DNA integrates fossil and modern giant salamander taxonomy. Scientific Reports, 15, 18642.