船曵祐輝 理学研究科博士課程学生、宮澤理稔 防災研究所教授らの研究グループは、光ファイバーセンシング技術を用いて京都府南部で発生した地震を捉え、次世代型の地震観測の有効性を実証しました。
光ファイバーセンシングの一つ、分散型音響センシング(DAS)では、一本の光ファイバーケーブルのどこで、どのくらいの伸縮があったかを、高精度に測定できます。本研究グループは地震観測を目的に、この技術を京都の国道沿いに敷設されている約50kmの光ファイバーケーブルに対して用いました。従来の地震観測では、観測装置を一つ一つ地表に設置するという大変な労力が必要でした。しかしこの技術では、既設の光ファイバーケーブルの端に装置を取り付けるだけで、ケーブル沿いの約1万か所もの場所で、地震の揺れを捉える事ができました。さらに地震波の振幅に関する大量のデータを活用し、小地震の発生過程を求めることに、世界で初めて成功しました。これにより地震計を使わなくても、地震に関する観測研究が進められることを実証しました。
現在、光ファイバーケーブルは日本中や海底に張り巡らされているため、このDAS技術を使えば、従来の地震観測網を観測点数で凌駕し、より詳細に地震現象を調べられるようになる可能性を秘めています。
本研究成果は、2025年5月3日に、国際学術誌「Geophysical Research Letters」にオンライン掲載されました。

【DOI】
https://doi.org/10.1029/2024GL113963
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/294078
【書誌情報】
Y. Funabiki, M. Miyazawa (2025). Estimating Focal Mechanism of Small Earthquakes Using S/P Amplitude Ratios of Distributed Acoustic Sensing Records. Geophysical Research Letters, 52, 9, e2024GL113963.