西表島のイリオモテヤマネコとカンムリワシ-2種の絶滅危惧種は限られた餌をうまく使い分けていた-

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 戸部有紗 理学研究科博士課程学生(研究当時:琉球大学修士課程学生)、佐藤行人 琉球大学准教授、伊澤雅子 北九州市立自然史・歴史博物館長(研究当時:琉球大学教授)らの研究グループは、絶滅が危惧される沖縄県西表島のイリオモテヤマネコとカンムリワシの食性を、DNAを用いた手法で解析することで、種間の共存機構の一端を解明しました。

 本研究では、小島嶼である西表島に食物連鎖のトップとして同所的に生息し、餌品目も共通するとされていたイリオモテヤマネコとカンムリワシの、餌資源を巡る競合に着目しました。2種の食性を、従来の手法より解像度が高いと期待されるDNAバーコーディング法により解析した結果、両種から検出された餌品目は異なる特徴を示し、2種が資源をうまく使い分けることで小さな西表島での共存が可能になっていることが示唆されました。西表島のアンブレラ種である2種の共存機構の一端を解明し、今後の保全にも繋がる成果となりました。

 本研究成果は、2024年4月2日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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イメージ図:イリオモテヤマネコ(左)とカンムリワシ(右)
研究者のコメント

「イリオモテヤマネコは、私自身が野生動物研究や保全へと興味を持ったきっかけの動物であり、こうして学術研究および保全に関わる成果として貢献できたことは大変嬉しく思います。しかし、西表島でのフィールドワークを通して新たにカンムリワシの魅力に取り憑かれ、現在はカンムリワシをメインに研究をさせていただいていることには何かしらの運命的なものを感じます。」(戸部有紗)