福井市足羽山に生息する地下水性甲殻類の新種を発見―長期調査が詳らかにする地下性動物達―

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 福井市足羽山にある七ツ尾口坑道では、福井市自然史博物館が2017年より継続的な動物相調査を実施しています。この度、中野隆文 理学研究科准教授、富川光 広島大学教授、梅村信哉 福井市自然史博物館学芸員らの研究グループは、七ツ尾口坑道において生息が確認されていた地下水性端脚類の1種を、「アスワメクラヨコエビ(Pseudocrangonyx asuwaensis)」として新種記載しました。

 2022年には、福井市立自然史博物館との共同研究により、七ツ尾口坑道に生息する地下性ヤスデ類、アスワタネウネホラヤスデが新種記載されています。地下性動物の多様性を明らかにするための調査地である洞窟、井戸、坑道などにアクセス出来る機会は減少しています。所有者の方が不断の努力で維持管理している七ツ尾口坑道は、貴重な地下性動物の調査地であり、福井市自然史博物館による継続調査により、更なる地下性動物の多様性の解明と進化史の推定が期待されます。

 本研究成果は、2023年6月12日に、国際学術誌「Zootaxa」にオンライン掲載されました。

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新種として記載した「アスワメクラヨコエビ」の抱卵個体(撮影者:梅村信哉)
研究者のコメント

「本業はヒル類の分類ですが、縁に恵まれ、色々なグループの多様性解明に携わることが出来、研究は常に新しい発見に満ちあふれています。様々な動物の多様性解明に幾ばくかでも貢献出来れば、分類学屋冥利に尽きます。」(中野隆文)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.11646/zootaxa.5301.3.4

【書誌情報】
AKI SHINTANI, SHINYA UMEMURA, TAKAFUMI NAKANO, KO TOMIKAWA (2023). A new species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae) from subterranean waters of Japan. Zootaxa, 5301(3), 383-396.