魚の健康において鍵となる「コア微生物叢」―ウナギ養殖水槽内の細菌叢動態―

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 矢島大意 生態学研究センター元修士課程学生と東樹宏和 同准教授らの研究グループは、ウナギの養殖水槽内に生息する多様な微生物の動態を分析し、ウナギの健康と深く関わっている可能性のある細菌種を網羅的に探索しました。

 近年、ヒトやマウスの腸内細菌叢に関する研究から、多様な微生物種がヒトの健康と深く関わっていることが次々と明らかになってきています。その一方で、ヒトやマウス以外の動物と細菌叢の関わりについては、まだ十分な知見が蓄積されていないのが現状です。

 本研究では、ウナギの養殖水槽内に存在する数千種の細菌の増減を、DNAメタバーコーディングという手法で100日以上にわたって分析しました。その結果、養殖水槽内の細菌種の構成が、想像以上に劇的に変化していることが明らかになりました。また、ウナギの健康度と強く関連する細菌を探索したところ、特にウナギの健康と強い関連性を持つと推測された細菌の中には、ビタミンB12を合成する能力を持つ種や魚類の免疫機構に関与する可能性のある種が含まれていました。さらに、ウナギの健康にプラスの効果をもたらす可能性が示唆されたこうした細菌類は、互いに協調的な働きをして「コア微生物叢」を形成することも示唆されました。こうした「コア微生物叢」(細菌種のセット)は、多様な系統の魚類と共生できる可能性があり、養殖システムや水族館において魚類を健康的に管理する技術への応用が見込まれます。

 本研究成果は、2023年3月20日に、国際学術誌「Microbiome」でオンライン掲載されました。

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魚の健康において鍵となる「コア微生物叢」の探索。©きのしたちひろ。​​​​​​
研究者のコメント

「定量的DNAメタバーコーディング技術によって、小さくて目に見えない細菌たちの群集構造の移り変わりを、データとして鮮明に知ることができます。細菌たちが互いに影響し合いながら激しく増減する様子は、見ていてとてもエキサイティングなものでした。」

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1186/s40168-023-01498-x

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/281533

【書誌情報】
Daii Yajima, Hiroaki Fujita, Ibuki Hayashi, Genta Shima, Kenta Suzuki, Hirokazu Toju (2023). Core species and interactions prominent in fish-associated microbiome dynamics. Microbiome, 11:53.