シロアリの社会における分業システムの鍵を発見―王と女王だけが持つことを許された酵素を特定―

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 小西堯生 農学研究科博士課程学生、田﨑英祐 日本学術振興会特別研究員(現:新潟大学助教)、高田守 農学研究科助教、松浦健二 同教授らの研究グループは、シロアリの社会において、王と女王だけが貴重な窒素源である尿酸を分解する酵素を発現することにより、繁殖に必要な栄養を得ていることを世界で初めて発見しました。今回の研究成果は、限られた資源を特定の個体に集中させることが求められる分業システムにおいて、その制御に関わる分子基盤の一端を明らかにするものであり、生物の社会維持メカニズムを理解する上で極めて重要な意味を持ちます。

 本研究成果は、2023年1月4日に、英国王立協会紀要「Proceedings of the Royal Society B」にオンライン掲載されました。

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王と女王だけが繁殖に必要な栄養を自分で利用できる”鍵”を持つ
研究者のコメント

「アリやハチ、シロアリなどの社会性昆虫は、生態系におけるバイオマス(現存量)の大きさから、地球上で最も繁栄している生物の一群といわれています。その繁栄をもたらした高度な分業システムが、どのような原理によって進化し、維持されているのか。この基本的な問いには多くの謎が残されています。本研究は、昆虫の社会システムの巧妙さを示すとともに、木造建築物を食い荒らす害虫であるシロアリの防除手法への応用の可能性も拓くものです。今後もあらゆる角度から生物と向き合い、人類の知の領域を拡げることに貢献できれば幸いです。」(小西堯生)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1098/rspb.2022.1942

【書誌情報】
Takao Konishi, Eisuke Tasaki, Mamoru Takata, Kenji Matsuura (2023). King- and queen-specific degradation of uric acid contributes to reproduction in termites. Proceedings of the Royal Society B, 290(1990):20221942.