スパコンで予言する魅惑の新粒子「チャームダイオメガ」 -クォーク6個状態の謎の解明に新たな1ページが加わる-

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 青木慎也 基礎物理学研究所教授、杉浦拓也 理化学研究所特別研究員、初田哲男 同プログラムディレクター、トン・フイ 同研修生(研究当時)、リュ―・ヤン 同研修生、土井琢身 同専任研究員の研究グループは、チャームクォーク6個からなる新粒子「チャームダイオメガ(ΩcccΩccc)」の存在を理論的に予言しました。

 物質を構成する素粒子クォークには、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップの6種類あることが知られています。陽子や中性子、その他複数のクォークからなる複合体のことを総称して「ハドロン」といい、チャームクォーク3個からなるハドロンは「チャームオメガ(Ωccc)」と呼ばれます。

 今回、本研究グループは、時間依存型HAL QCD法と呼ばれる数理手法とスーパーコンピュータ「京」、「HOKUSAI」を用いた大規模数値計算を組み合わせることで、2個のチャームオメガ(Ωccc)粒子間に働く力を計算し、新粒子チャームダイオメガ(ΩcccΩccc)の存在を理論的に予言しました。

 本研究成果は、素粒子クォークがどのように組み合わさって原子核ができるのかという、原子核物理学の重要な問題の解明に貢献するものと期待できます。   

 本研究成果は、2021年8月11日に、国際学術誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載されました。

チャームダイオメガのイメージ図
図:チャームダイオメガのイメージ図
研究者情報
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.127.072003

【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/265092

Yan Lyu, Hui Tong, Takuya Sugiura, Sinya Aoki, Takumi Doi, Tetsuo Hatsuda, Jie Meng, Takaya Miyamoto (2021). Dibaryon with Highest Charm Number near Unitarity from Lattice QCD. Physical Review Letters, 127(7):072003.