ついに観測された理論上の超新星 -明らかになった恒星の終焉の境目-

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 前田啓一 理学研究科准教授、平松大地 カリフォルニア大学サンタバーバラ校博士課程学生、守屋尭 国立天文台助教、冨永望 同教授、野本憲一 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構上級科学研究員らの研究グループは、日本のアマチュア天文家によって発見された超新星2018zdの詳細な観測により、この超新星が「電子捕獲型超新星」であると結論付けました。

 質量の小さな恒星は白色矮星となり静かにその生涯を終えるのに対し、質量の大きな恒星は超新星として爆発することでその終焉の時を迎えます。しかし、この境目の質量を持つ恒星の運命はよくわかっていませんでした。この境目の恒星は「電子捕獲型超新星」と呼ばれる特殊な超新星として爆発することが約40年前に理論的に予測されました。明月記に記録の残る1054年の超新星が電子捕獲型超新星であった可能性が指摘されていましたが、電子捕獲型超新星とはっきりわかる超新星は発見されていませんでした。

 この発見は、これまでよくわかっていなかった白色矮星と超新星の運命の境目を明らかにするものです。

 本研究成果は、2021年6月29日に、国際学術誌「Nature Astronomy」に掲載されました。

電子捕獲型超新星2018zd(右の明るい点)。左には超新星の発生した銀河NGC 2146が写っている。ラスクンブレス天文台(LCO)により取得された超新星2018zdの画像とハッブル宇宙望遠鏡画像の合成画像(LCO/NASA/STScI/J. DePasquale)
図:電子捕獲型超新星2018zd(右の明るい点)。左には超新星の発生した銀河NGC 2146が写っている。ラスクンブレス天文台(LCO)により取得された超新星2018zdの画像とハッブル宇宙望遠鏡画像の合成画像(LCO/NASA/STScI/J. DePasquale)
研究者情報
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1038/s41550-021-01384-2

Daichi Hiramatsu, D. Andrew Howell, Schuyler D. Van Dyk, Jared A. Goldberg, Keiichi Maeda, Takashi J. Moriya, Nozomu Tominaga, Ken’ichi Nomoto, Griffin Hosseinzadeh, Iair Arcavi, Curtis McCully, Jamison Burke, K. Azalee Bostroem, Stefano Valenti, Yize Dong, Peter J. Brown, Jennifer E. Andrews, Christopher Bilinski, G. Grant Williams, Paul S. Smith, Nathan Smith, David J. Sand, Gagandeep S. Anand, Chengyuan Xu, Alexei V. Filippenko, Melina C. Bersten, Gastón Folatelli, Patrick L. Kelly, Toshihide Noguchi, Koichi Itagaki (2021). The electron-capture origin of supernova 2018zd. Nature Astronomy.

メディア掲載情報

日刊工業新聞(6月29日 23面)に掲載されました。