Thoulessポンプにおける乱れの効果を検証 -トポロジカル量子現象と乱れの競合と協奏-

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 中島秀太 白眉センター特定准教授、武井宣幸 理学研究科特定准教授(現・東京工業大学特任准教授)、高橋義朗 同教授らの研究グループは、久野義人 筑波大学助教、Pasquale Marra 東京大学特任研究員らと共同で、Thoulessポンプと呼ばれるトポロジカル量子現象における「乱れ」の効果について明らかにしました。

 トポロジカル量子現象は、乱れのような摂動に対して堅牢であることが知られていますが、乱れが非常に大きい場合にどのようなことが起きるかは自明ではありません。本研究では光格子中の冷却原子系を用いてThoulessポンプ系を構築し、そこに制御可能な準周期的な乱れを加えることで、この系の安定性に関して乱れの影響を検証し、Anderson局在転移点を超える大きな乱れまでこの系が安定であることを確認しました。さらに条件を選ぶことで、むしろ乱れが存在することで初めて生じるポンプを観測しました。高度な制御性をもつ冷却原子系は、今後、乱れが関与するトポロジカル量子現象研究の新しいツールになると期待されます。

 本研究成果は、2021年4月30日に、国際学術誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載されました。

光格子ポテンシャルが周期的に時間変化するとポテンシャル中の冷却イッテルビウム原子は上図で左から右へ輸送(ポンプ)される(Thoulessポンプ)。この時、乱れがある程度の大きさまではポンプ量はある一定の値を取り安定なままであるが、閾値を超えるとポンプが抑制される。
図:光格子ポテンシャルが周期的に時間変化するとポテンシャル中の冷却イッテルビウム原子は上図で左から右へ輸送(ポンプ)される(Thoulessポンプ)。この時、乱れがある程度の大きさまではポンプ量はある一定の値を取り安定なままであるが、閾値を超えるとポンプが抑制される。
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1038/s41567-021-01229-9

Shuta Nakajima, Nobuyuki Takei, Keita Sakuma, Yoshihito Kuno, Pasquale Marra, Yoshiro Takahashi (2021). Competition and interplay between topology and quasi-periodic disorder in Thouless pumping of ultracold atoms. Nature Physics.