葉をたくさん食べるニホンザルの腸内細菌は、葉の発酵能力が高いことを証明 -動物の消化への腸内細菌の寄与-

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半谷吾郎 霊長類研究所 准教授らの研究グループは、屋久島の野生ニホンザルの新鮮な糞と葉を混ぜて試験管内で発酵させたところ、葉をよく食べている地域のほうが発酵が多く行われることを明らかにしました。

ニホンザルの腸内細菌の種構成は、葉をよく食べる地域と果実をよく食べる地域で分かれており、果実をよく食べる地域では、糖の貯蔵にかかわる遺伝子が多く腸内細菌に含まれていました。多くの種類の食物を食べるジェネラリスト(広食性)の動物では、自分自身の遺伝子ではなく、腸内細菌を柔軟に変化させて、その場所に応じた食物の消化能力を身につけている可能性が示唆されました。

本研究成果は、2020年4月24日に、国際学術誌「Microbial Ecology」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1007/s00248-020-01515-8

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/253562

Goro Hanya, Janko Tackmann, Akiko Sawada, Wanyi Lee, Sanjeeta Sharma Pokharel, Valdevino Gisele de Castro Maciel, Akito Toge, Kota Kuroki, Ryoma Otsuka, Ryoma Mabuchi, Jie Liu, Masaomi Hatakeyama, Eri Yamasaki, Christian von Mering, Rie Shimizu-Inatsugi, Takashi Hayakawa, Kentaro K. Shimizu & Kazunari Ushida (2020). Fermentation Ability of Gut Microbiota of Wild Japanese Macaques in the Highland and Lowland Yakushima: In Vitro Fermentation Assay and Genetic Analyses. Microbial Ecology, 80, 459-474.