米国電気電子学会(IEEE:アイトリプルイー) 802.15.4e RITに世界で初めて準拠した無線技術を共同で開発

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原田博司 情報学研究科教授らの研究グループは、東京ガス株式会社と共同で、スマートメーター用無線通信規格の一つである「米国電気電子学会(IEEE:アイトリプルイー)」 802.15.4e RIT(Receiver Initiated Transmission)に世界で初めて準拠した無線技術を開発しました。

本研究成果は、2017年3月19日から22日まで米国・サンフランシスコで行われる国際学会「IEEE WCNC’17」で発表される予定です。

研究者からのコメント

次世代型ガススマートメーター用通信システムは、無線を用いることが検討されていますが、電気メーター等と異なりメーター自身が電源供給を行うことができないため、無線機も電池駆動が前提になります。今回開発したF-RIT通信プロトコルは、国際規格IEEE802.15.4eに準拠しており低消費電力化を低コストで実現することが可能です。また、電池駆動の各種センサーを高密度に設置しても、長期にわたり安定的に高頻度な双方向通信を可能にすることが可能です。今回この通信プロトコルを実装した無線機の開発に成功したことにより、今後ガススマートメータを中心にしたIoTサービスの導入がますます加速されることが期待されます。

概要

これまでIEEE 802.15.4e RITと呼ばれる標準仕様は、2012年にIEEEで策定され実用化が期待されていたものの、システム設計のための理論解析手法が確立されていなかったために具体的な通信手順の設計ができず、実機の開発までは至っていませんでした。

そこで本研究グループは、理論解析手法を確立することで、実用に耐えられる通信手順の設計を可能にし、実機による動作確認に成功しました。本技術は、F-RIT(Feathery-RIT)と呼ばれ、電池駆動の各種センサーを高密度に設置しても、長期にわたり安定的に高頻度な双方向通信を可能にする耐干渉性、高伝送効率性を有しながらも、無線機の低消費電力化を低コストで実現する基礎技術です。家電機器の制御にも利用でき、住宅内の電源配線や設置工事は不要です。さまざまな「モノ」のインターネット「IoT」サービスの実現に向け、コスト低減やコンテンツの拡充が期待できます。

図:開発した無線実機を用いた複数無線機からの通信実験

詳しい研究内容について