総合研究推進本部では、2025年10月6日に、国際科学イノベーション棟 HORIBAシンポジウムホール にて、研究評価シンポジウム「COMONとは何か -多様性と持続可能性を支える未来への挑戦-」をハイブリッド形式にて開催しました。本シンポジウムは、これまで本学で重ねてきた研究評価に関する説明会等での意見を集約し、多様な大学構成員が議論を深めることで、本学独自の評価文化を育むことを目的としました。
第1部では、開会にあたり北川進 理事・副学長より趣旨説明があり、研究評価システム「COMON」の導入に向け、「透明性」、「公正性」、「多様性」を重視する姿勢を強調しました。
引き続き3講演が行われ、はじめに若手研究者を代表して、宇治梓紗 法学研究科准教授が、「COMON」が研究者の自律的な活動を促し、相互に影響を与え合う「大学エコシステム」の要となる可能性を示しました。続いて、国外から2名による講演があり、Leonie van Drooge オランダ保健研究開発機構(ZonMw)上級政策官が、同国の「戦略評価プロトコル(SEP)」を紹介し、多様な構成員の声を制度に反映する重要性を述べました。続いてDavid Budtz Pedersen オールボー大学教授が、欧州で広がる「責任ある研究評価」を紹介し、ナラティブ評価や指標の多様化が研究の質を損なわないことをエビデンスとともに示しました。
最後に、林隆之 政策研究大学院大学教授による総括コメントがあり、日本では国立大学法人化以降、研究評価の焦点が資金提供側による業績監査に置かれ、「監査文化」が浸透する中で評価が形式化している現状を指摘しました。そのうえで、評価システムを刷新し、より質の高い挑戦的研究を支える基盤を再構築する必要性を強調し、本学の「COMON」が日本の研究評価の新たな方向を先導することへの期待を述べました。
第2部では、「COMON」運用の6原則案をもとに3卓でラウンドテーブル討論を実施しました。松浦健二 副プロボスト、木庭啓介 生態学研究センター長、田中功 理事補がモデレーターを務め、活発な意見交換が行われました。
第3部のパネルディスカッションでは、議論内容を共有し、研究の多元性とその価値を認め合う重要性を確認し、本学から国内外へ多様な研究文化を発信すること、それにより多様な研究領域と価値観のアドバンテージをより増幅できる評価システムとなることへの期待が寄せられました。
今後、本学では国内外の事例と比較研究しながら、本格稼働に向けさらに議論を進め、世界に誇る研究評価文化を共に育てていきます。