松本紘 元総長が2025年6⽉15⽇に逝去されました。
ここに謹んでお知らせいたします。
湊長博 総長からの松本紘 元総長逝去に関してのコメント
松本紘 元総長の訃報に接し、痛惜の念にたえません。京都大学の教職員を代表して心からご冥福をお祈りいたします。
松本紘先生は、2005年(平成17年)10月から3年間に亘り、研究・財務担当の理事・副学長を務められた後、2008年(平成20年)10月1日、第25代総長に就任されました。以降、2014年(平成26年)9月までの6年間に及ぶ総長在任期間において、国立大学法人化以降、大学を巡る環境が激しく変動する中で、様々な研究・教育の改革を実行されました。
学術研究については、領域を問わず次世代の若手研究者を世界中から募り、5年間に亘って制約なしに自由で独創的な研究課題に取り組むことができる「白眉プロジェクト」が2009年(平成21年)に立ち上げられ、昨年15周年の節目を迎えたことは記憶に新しいことと思います。また、2013年(平成25年)には、現代社会が抱える諸問題を「総合生存学」により解決し社会を変えていくことを目的に京都大学で18番目の大学院として「総合生存学館」を設置されました。
教育に関しては、高大接続の在り方を抜本的に見直し、基礎学力と意欲を重視する「特色入試」を導入するとともに、入学後の教養・共通教育にかかる企画・調整を一元的に所掌すべく2013年(平成25年)に「国際高等教育院」を設置するなど、基礎教育の充実に資する体制を大々的に整備されました。
さらに、京都大学総長在任中には、京都大学にとどまらず、国立大学協会会長として国立大学発展のために寄与なさいました。また、総長ご退任後も、理化学研究所理事長、国際高等研究所所長等を歴任され、特に若手研究者の研究環境の充実等に尽力なさいました。2007年(平成19年)には紫綬褒章を、2021年(令和3年)には瑞宝大綬章を受章されております。
これまで国際フォーラムでは毎年のようにお目にかかり、また折に触れて、課題が山積する国立大学の運営について、多くの貴重なご意見とご指導を賜ってまいりました。今年の1月に、「白眉プロジェクト」創立15周年記念式典でお会いしたときの凛としたお姿が脳裏に焼き付いております。
これまでのご指導とご支援に心から御礼申し上げますとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。
2025年6月16日
京都大学総長
湊 長博