村上 章 理事・副学長、野田 進 工学研究科教授が日本学士院賞を受賞(2022年3月14日)

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 このたび、村上 章 理事・副学長、野田 進 工学研究科教授が第112回(令和4年)日本学士院賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。

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村上理事・副学長

村上 章 理事・副学長、名誉教授

 村上 章 理事・副学長は、昭和53年に京都大学農学部、同55年に京都大学大学院工学研究科修士課程を修了し、平成3年に農学博士の学位を取得しました。兵庫県庁、京都大学農学部助手、米国コロラド大学ボルダー校客員研究員、京都大学農学部助教授、平成11年岡山大学環境理工学部教授、同21年京都大学大学院農学研究科教授(令和3年3月定年退職)、同31年京都大学農学研究科長・農学部長を経て、令和2年に京都大学理事・副学長に就任し、現在に至っています。

 今回の日本学士院賞の研究題目は、「カルマンフィルタによる逆解析法の展開と地盤工学への応用に関する研究」です。村上理事・副学長は、カルマンフィルタの条件付き確率論に基づき、正則化項を付加することにより、過去の地盤変形の記録から、複数の地盤定数が推定できることに着目しました。そして、地盤の挙動を表す有限要素法と組み合わせた逆解析法により、世界に先駆けて推定精度の良い地盤定数の推定法を確立しました。本研究以前は、地盤定数は一定として扱われ、実際の地盤定数は未知であり推測にとどまっていましたが、本研究によって初めてその変動状況が明らかにされました。そして、飛躍的に推定精度の高い地盤変形の予測を可能としました。さらに、この理論は地盤変形による危険予知にも道を拓き、貯水池・ダムの崩壊予測、高水圧化のトンネルの掘削速度の調整、地下に存在する空洞の位置・形状の予知などを可能にしました。これらの研究成果は日本各地の地盤変形予測や危険予知に実際に広く役立っており高く評価されています。

 なお、村上理事・副学長の卓越した業績に対し、平成8年土木学会論文賞、同19年農業農村工学会沢田賞、同20年地盤工学会研究業績賞、令和3年日本農業工学会賞、土木学会応用力学功績賞、同4年日本農学賞および読売農学賞など、多数の賞が授与されています。

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野田教授

野田 進 工学研究科教授

 野田 進 工学研究科教授は、昭和57年京都大学工学部を卒業、同59年同大学大学院工学研究科修士課程を修了し、三菱電機株式会社中央研究所基礎研究部主員を経て、同63年京都大学工学部助手として採用、平成3年京都大学博士(工学)を取得しました。その後、平成4年同助教授、平成12年同教授に就任、平成21年からは工学研究科附属光・電子理工学教育研究センター長を併任し、現在に至っています。

 今回の日本学士院賞の研究題目は「フォトニック結晶による光制御法の極限的開拓と半導体レーザ高度化への応用」です。野田教授は、屈折率が異なる2種類の素材を光の波長ほどのピッチで整然と並べた「フォトニック結晶」と呼ぶ人工構造の研究を先導し、独自の構造を考案・製作することで、光の波を極限的に制御する道を拓きました。これにより、様々な光学的性質や機能が実現でき、また、半導体レーザの性能や機能が格段に高度化できることを示しました。特に、微細な孔を規則的に設けた厚さ0.5μm以下の極薄膜に、孔のない極微領域を設け、その近傍の孔の配列を工夫することで、光の漏れの極めて少ない、性能指数(Q値)が1千万に及ぶ、極微小共振器として機能することなどを示しました。また、膜面に微細孔を周期的に設けた構造を発光層近傍に埋め込んだ半導体レーザ(=フォトニック結晶レーザ)を発明し、発光層の面積を拡大しても光のモード(姿態)が乱れず安定した状態で発振可能なことを示すとともに、今後のスマート社会(自動運転等)に不可欠なレーザ・レーダなどに適した高出力かつ高品質の光ビームが出射可能なことなどを実証しました。

  なお、野田教授の卓越した業績に対し、これまでも平成18年米国光学会Joseph Fraunhofer Award/Robert M.Burley Prize、同21年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)、同26年紫綬褒章など、多数の賞が授与されています。

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