第62回玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会「数理物理から導かれる新しい幾何学」

開催日
2023年12月14日 木曜日
時間

14時00分~16時30分

 

要申し込み
不要
公開日

 玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄附をいただき、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開催しています。第1回は1969年秋、以後54年、回を重ねること今回で62回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。

 この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生の参加も多く、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しています。

基本情報

開催地
  • 吉田キャンパス

北部総合教育研究棟 益川ホール(北部構内マップ[13])

  • オンライン配信はありません。現地開催のみですのでご注意ください。
対象
  • 在学生の方
  • 一般・地域の方

大学生(学部生・大学院生)、教員、一般の方

参加費

無料

イベント内容

テーマ

「数理物理から導かれる新しい幾何学」

講演者、演題

「量子コホモロジーの幾何学」入谷寛 理学研究科教授
物理の超弦理論ではこの世の中の物質は長さはあるが太さはない「ひも」からできているとされています。その中でも閉じた「ひも」の研究から量子コホモロジーという概念が生まれ、数学でも研究されるようになりました。
講演者は数学の立場から量子コホモロジーを研究しています。これは大雑把には、与えられた空間(シンプレクティック多様体)のなかの閉じた「ひも」からなる「ループ空間」と呼ばれる無限次元空間のコホモロジーと理解することができます。ただし量子コホモロジーの数学的な定義には無限次元空間は必ずしも必要はなく、有限次元の定義が可能です。量子コホモロジーは微分方程式と深い関係があり、またミラー対称性と呼ばれる不思議な双対性を通じて複素幾何学とも関係しています。講演では量子コホモロジーから無限次元の幾何学がどのように垣間見えるかについて紹介します。
「ゲージ理論と非可換ホッジ理論」望月拓郎 数理解析研究所教授
幾何学は物理学からさまざまな恩恵を受けてきました。例えば、物理学的な背景をもつ方程式の研究が幾何学的に豊かな世界の発見につながってきました。そのような方程式の一つとしてヒッチン方程式が挙げられます。ヒッチン方程式は、ゲージ理論で重要な自己双対方程式を簡単化したものとして1980年代に導入されました。物理よりも、むしろ幾何学的に面白い方程式で、空間の位相的な構造を調べる上で重要な基本群の表現やそのモジュライが持つ興味深い構造が、ヒッチン方程式の研究によって見出されました。そのような構造に基づく研究が非可換ホッジ理論と総称されています。非可換ホッジ理論は、ミラー対称性やツイスター理論にも刺激を受けながら発展し、数論や代数解析学といった分野にまでその影響がおよんでいます。また、自己双対方程式の別の簡単化として得られるボゴモルニー方程式についても非可換ホッジ理論的な対応が得られています。この講演では、このような研究の一端について紹介します。
お問い合わせ

理学研究科 SACRA 広報・社会連携部門
Fax:075-753-9410
E-mail:mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
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