新年の抱負として今年のひと言を書きました。(2020年1月7日)

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皆さま、新年あけましておめでとうございます。

今年も新年の抱負を一筆したためました。

「小さき命を遊ばせる」

今年は子年であります。ねずみは非常に小さな存在ですが、繁殖力が高くてどこにでも姿を現し、この世でインパクトが強い存在とも言えます。そういった「小さき命を遊ばせ」ながら、大きなインパクトを世界に与えていこうというのが今年のテーマです。

さて、京都大学は「自由の学風」そして「自由な対話」を尊重するなかで、創造の精神を育んできました。今は自由を謳歌するだけでなく、社会に対して説明責任を負う時代であり、様々な倫理上の責任が大学にはあります。しかし、規制を厳しくして監視するのではなく、互いに励まし合い、情報を交換し合って間違いを犯さないように予防することが大切です。

昨年の吉野彰先生、一昨年の本庶佑先生のノーベル賞受賞をはじめ、京都大学は今、世界に冠たる存在として注目を浴びる存在になりつつあります。私たち自身が世界を先導するという自負を持って、襟を正していかなければなりません。そして、世界の情勢を見つめ、他の多くの機関と連携し、大学の将来を見据えながら、歩んでいかなければなりません。

あと2年と少しで京都大学は125周年を迎えます。昨年、それに向けて「京大力、新輝点。」という新たな標語を考えました。この「輝点」には「起点」および「機転」という2つの意味も込められています。ねずみのように点は小さいけれど、磨けば輝き、集まれば大きな力を発揮します。

知の拠点として、そして様々な創造性を育むキャンパスとして、日本の先端、そして世界の先端を歩まなければならないということを肝に銘じて、これからも京都大学を盛り立てていきたいと思います。

本年も、京都大学をどうぞよろしくお願いいたします。

2020年1月7日 京都大学総長 山極 壽一