宇治おうばくプラザ竣工記念式典 祝辞 (2009年10月23日)

第25代総長 松本 紘

当日の様子

 うららかな秋の陽射しのもと、京都大学宇治おうばくプラザ竣工披露式の開催にあたり、たくさんの皆様にご参加いただきましたことを、京都大学を代表してこころからお礼申し上げます。

 また、たいへんお忙しい中ご出席くださいました久保田勇 宇治市長、尾池和夫 京都大学前総長をはじめとするご列席の皆様にも厚くお礼を申し上げます。

 本日お披露目いたします、この建物「京都大学宇治おうばくプラザ」は、本学の中期目標・中期計画に基づき策定した「京都大学重点事業アクションプラン2006~2009」において、平成19年度に行う学生支援事業として建設を計画したものです。大学院生・留学生・研究員等が集う研究施設として、また、国際会議や学会等を常時開催できる施設として、ならびに地域の皆様および社会との活発な交流が可能な開放的施設として運用を開始する運びとなったものであります。

松本総長 宇治キャンパスは昭和22年に旧陸軍の敷地を譲り受けて発足しました。それ以降、数々の理工系の研究所や研究施設がキャンパスに移転、整備されました。
  現在は、自然科学系の4つの研究所、化学研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所および防災研究所を中心に、農学、工学、エネルギー科学、情報学の4つの大学院研究科、および学内共同利用施設である産官学連携センターと低温物質科学研究センターのサテライトがあります。さらに、最近、複数の研究科、研究所にまたがる3つの研究組織、生存基盤科学研究ユニット、次世代開拓研究ユニットおよび宇宙総合学研究ユニットの拠点を宇治キャンパスに設置して先端的融合研究を目指しているところです。
  宇治キャンパスは多数の実験研究施設・装置を備え、その特色を生かして、本学の多くの自然科学系の学生がそれらの施設装置を使用した研究を行っており、約800名の教職員と約900名の学生・研究員が集う京都大学の第二キャンパスです。その約1割は外国籍の教員、研究員や留学生であり、また、毎年多数の国内外の研究者が、共同研究のため宇治キャンパスに来ています。

 しかし、これまでは、さまざまな研究分野・国籍の学生や教職員、研究者が、お互いに交流・親睦を深める場は生協会館くらいであり、国際会議は無論のこと、学会や研究集会、地域や社会への情報発信に利用できる施設は皆無と、京都大学の第二キャンパスというには余りにも貧弱なものでした。

 キャンパス創設以来60年の時を経てようやく、交流スペースやレストラン、コンビニエンスストアなどの福利厚生施設と、国際会議や研究会等を開催するホールやセミナー室を兼ね備えた本施設が完成しましたことは誠に喜ばしい限りであります。

 また、おうばくプラザ建設に合わせて、宇治市のご協力も得て、宇治キャンパスの中と外を隔てていた道路沿いの壁を撤去し、ゆったりとした歩道も整備されました。これにより、宇治キャンパスが地域や学外・海外から訪問される方々にとって、また京都大学の学生諸君にとっても親しみやすい存在に大きく生まれ変わったと思います。
  近くには蔓福寺や平等院などの長い歴史のある寺社も多く、源氏物語宇治十帖の舞台にもなった風光明媚な景観を借景にして、キャンパス内でも四季折々の美しい自然に触れることができます。このような宇治市のすぐれた景観とも溶け込む宇治キャンパスのシンボルとなる施設ができたことを喜んでいます。

 今後、世界の研究者が国際会議に集い、地域住民の皆様をはじめ一般の方と学生、留学生、教職員、また、民間企業の方々とも活発な交流が可能となるようなキャンパスの実現を目指し、その拠点となる施設として「宇治おうばくプラザ」の運営を進めてまいります。運営にあたっても、皆様方のご助言とご協力を賜りたいと思っています。

 最後になりますが、本施設建設の趣旨をご理解いただき、多大なるご寄附を賜りました皆様や、竣工に至るまでご協力を賜りました地域住民の皆様をはじめとして、関係各位の様々なお力添えをいただきましたこと、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

 今後の京都大学の新たな研究施設として多くの方々に活用されることを祈念して、私のお礼のご挨拶といたします。

関連リンク

「京都大学宇治おうばくプラザ」竣工披露式を挙行しました。(2009年10月23日)