第2回三大学連携シンポジウム 挨拶 (2009年1月14日)

第25代総長 松本 紘

松本総長  京都大学の松本でございます。
  昨年10月1日付けで、本日の講演者でもあります尾池和夫前総長の後を受け、第25代京都大学総長に就任いたしました。
  本日は、三大学連携シンポジウムにご来場いただき誠にありがとうございます。

  本シンポジウムは、昨年度から、京都大学、大阪大学および神戸大学の三大学が連携し、世界に通用する高度人材育成を行い、将来、関西の知的創造拠点を形成することを目指して、国際シンポジウムを開催しております。
  このシンポジウムは、学術、文化、芸術等の振興に関する教育・研究事業を三大学が連携して行うことにより、卓越した研究者・技術者の人材育成に貢献し、関西地域の産業の発展と地域活性化に寄与することを目的に、昨年度から平成23年度までの5年間、大阪大学、京都大学、神戸大学の順に幹事となり輪番で実施しているものであります。
  昨年度は、大阪大学が幹事大学となり「情報科学」分野を対象とした大学間連携による高度人材育成に関するシンポジウムを行いましたが、本年度は、京都大学が幹事大学として「都市災害における企業の果たすべき役割」をテーマに取り上げております。災害時には「公助」「共助」「自助」という3つの助が復興の鍵となりますが、近年その脆弱性が指摘される都市においては「公助」と「共助」の間に立つ「企業の産助」とも呼ぶべきものが、企業ガバナンスの観点からも重要になってきております。三大学を始め、企業や行政、国際機関からも様々な知見を得ることで、都市の減災に資するものとなることを願っております。
  平成24年度に開業が予定されている北梅田ナレッジ・キャピタルにおいても、企業を中心に住環境を備えた新しい街が創られようとしています。今、各界の知見を得て、都市減災における企業の役割について考えることで、未来の街づくりの一助となれれば幸いでありす。
  本シンポジウムが三大学の連携を大きく前進させ、トップレベルの人材育成と、産業界に最先端の「知」を発信していくことで産学連携を促進し、ひいては関西の産業と文化の発展に寄与できればと考えております。

当日の様子  京都大学は創立以来、自由の学風のもと闊達な対話を重視し、京都の地において自主独立の精神を涵養し、高等教育と先端的学術研究を推進し、111年が過ぎました。
  激動の変革期といえる現在、京都大学には、自由の学風を継承発展させつつ多元的な課題の解決に果敢に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献することが求められております。

  教育基本法第7条に「大学は、学術の府として、高い教養と専門知識を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、その成果を広く社会に提供することによって、社会の発展に寄与するものとする」と明記されております。
  第一の使命である教育は「知の制限」に陥らないように充分に注意を払いつつ、「知の伝承」を通して広く人材を育成すること、第二の使命である研究は、最先端の研究活動を行い「知の創造」「知的体系の構築」のため深く真理を探究すること、第三の使命である社会貢献は、いろいろな形態があり知の社会発信、産官学連携、政策提言、高度医療など多様な展開が可能となっております。
  このような多様性を特徴とする総合大学として、三大学が連携し、国際社会においてリーダーとなりうる優れた人材の育成を行うとともに、関西地域の産業の発展と地域活性化に寄与することが使命と考えております。
  本日ご来場いただきました皆様方におかれましては、本シンポジウムの趣旨を十分お汲み取りいただき、最後までご静聴いただきますようお願いを申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。