京都大学宇治キャンパス公開2008 挨拶 (2008年10月17日)

第25代総長 松本 紘

松本総長 総長の松本 紘です。
  本日は、お招きいただきありがとうございます。
  宇治キャンパス公開懇親会の開催を記念して、一言ご挨拶申し上げます。

 この宇治キャンパスの出発は、皆様もよくご存じのことと思いますが、昭和22(1947)年です。旧陸軍の土地を木材研究所(後の木質科学研究所)が無償貸与を受けたことに始まります。昭和24(1949)年5月、新しく誕生した「京都大学」の宇治分校となり、教養部が置かれました。教養部は後に吉田キャンパスに統合されましたが、宇治キャンパスは自然科学系の研究キャンパスとして位置づけられてきました。

 現在、宇治キャンパスにおける研究は、自然科学系の殆どの分野にわたる研究を行っており、本学の先端的な研究・教育の拠点となっております。4つの研究所(化学研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所、防災研究所)と4つの大学院研究科(農学研究科、エネルギー科学研究科、工学研究科、情報学研究科)の他に2つのセンター(産官学連携センター、低温物質科学研究センター)があり、さらに、3つのユニット(生存基盤科学研究ユニット、次世代開拓研究ユニット、宇宙総合学研究ユニット)があります。また、この宇治キャンパスには、約800名の教職員と約930名の学生が活躍されています。

会場の様子 大学に課せられた使命の第一は教育であります。「知の伝承」を通して広く人材を育成することにあります。第二の使命は、最先端の研究活動を行い、「知の創造」、「知的体系の構築」のため深く真理を探究することであります。また、大学における創造的な研究活動は、その過程に学生たちを参加させ、人材を育成することが含まれます。このように大学における教育と研究は車の両輪をなすものであり、不即不離でなければなりません。
  この宇治キャンパスにおいても、大学の使命であります教育と研究とが、十分に果たされているものと存じます。

 第三の使命は、社会貢献であります。社会貢献にはいろいろな形態があります。知の社会発信、産官学連携、政策提言、附属病院の高度医療など多様な展開が可能であり、明日、明後日に開催されますキャンパス公開も「知の社会発信」の一つであります。

 宇治キャンパス公開は、「特色のある最先端の研究の公開を通じ産官学連携の推進、地域に開かれた大学の実現、各研究所・センター等の研究者の交流」を目的に毎年開催されています。

 宇治キャンパス公開の起源は、平成9年に京都大学百周年記念協賛講演会を実施したことに始まり、今年で12回目となり、今年度キャンパス公開のテーマは「宇治キャンパスからのメッセージ -未来を拓くみんなの科学-」です。宇治キャンパスから、多くのメッセージが未来に発信されることを期待しています。

当日の様子 また、宇治キャンパスでは、来年の秋に「京都大学宇治おうばくプラザ」と呼ばれる学生、大学院生の福利厚生、また、地域住民に開かれた新しい施設が完成します。世界の研究者が国際会議に集い、地域住民をはじめ一般の方と学生、教職員等との活発な交流が期待されています。来年はこのおうばくプラザがキャンパス公開のメイン会場になると思われます。

  明日からのキャンパス公開が、多くの参加者で大いに賑わうことを祈りまして、私のご挨拶といたします。

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