寄附講座「食と農の安全・倫理論」では寄附プロジェクト研究を組織し、食品由来のリスク管理や、農学倫理、農業・食品産業倫理、リスク・食品・科学に関するコミュニケーションについて研究を進めるとともに、これまで3回のシンポジウムを開催してきました。
第4回目となる今回のシンポジウムでは、食品産業の社会的責任をテーマとします。今日、企業のCSR(社会的責任経営)が注目されていますが、事業活動以外の社会貢献がCSRとして理解される傾向にあります。しかし、企業は事業を通して社会と結びついていることから、事業そのものを通して、いかに社会的責任を果たすかがより重要ではないでしょうか。食品分野では、フードシステムの担い手(農業生産者、食品製造事業者、流通事業者、外食事業者、そして消費者)が互いに良好な関係を醸成しながら食を支え、望ましいフードシステムのあり方を探求し、将来世代に引き渡せるようにしていくことではないかと考えます。現在日本は、先進諸国のなかでも食料自給率が極端に低く、そして農業者は減少し続けています。加えて、食品の過度な安売りのなかで、残された農業経営の存続も危ぶまれ、将来の食の基盤が揺らぎかねない状態になっています。このような現状をふまえ、事業を通じた社会的責任を考えるうえで、今回は、国内農業との関係づくりを取り上げたいと思います。
シンポジウムでは各講演者から、食品企業としての経営理念、消費者への食品提供の使命感、原料調達の考えや取り組みを紹介いただき、参加者の皆様とともに、テーマの「食品産業と国内農業との関係づくり」を考え、またそれを通して、ステークホルダーの「将来世代の食への責任と倫理」を探求していきたいと考えます。多数の皆様のご参加をお待ちしています。
日時
2009年6月27日(土曜日) 13時30分~17時00分
会場
京都大学農学部 総合館 W100
(京都市左京区北白川追分町)
参加費・申し込み
参加費は無料です。事前申し込みは不要です。
プログラム
開会挨拶/解題
新山陽子 (京都大学大学院農学研究科教授)
講演
- みその製造現場からお伝えしたいこと
本田茂俊 (本田味噌本店 代表取締役社長) - 地産原料による淡口醤油製造への取り組み
薦田裕 (ヒガシマル醤油 取締役 製造部長) - 生産者と目標を共有し、一体感を持って商品をつくる
田中秀幸 (ロック・フィールド 執行役員 購買部長) - 自治体の考える国産・地元産農産物の利用促進政策
中村繁雄 (京都府農林水産部担い手支援課課長)
ディスカッション
本シンポジウムについてのお問い合わせ
京都大学大学院農学研究科「食と農の安全・倫理論」 工藤春代
TEL/FAX: 075-753-6339
E-mail: haruyo*kais.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)
- 「食と農の安全・倫理論」は、本学卒業生永井幸喜氏、株式会社ロック・フィールド、エスケー食品株式会社、株式会社明石菊水からのご寄附によって設立されています。
- 本シンポジウムは、科学研究費補助金(基盤A)「科学を基礎とした食品安全行政/リスクアナリシスと専門職業、職業倫理の確立」の共催です。
関連リンク
- 第3回 食と農の安全・倫理シンポジウム「食べ物産業としての農業−生産からの倫理を考える−」
- 第2回 食と農の安全・倫理シンポジウム ~食品汚染事故から学ぶ危機管理~
- 第1回 食と農の安全・倫理シンポジウム~多様な角度から食の安全にせまる~