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中村 卓史教授が日本学士院賞を受賞 (2005年6月13日)

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中村 卓史 教授

中村卓史教授は昭和48年に京都大学理学部を卒業、同50年同大学理学研究科修士課程を修了、同53年同博士後期課程を単位取得退学、同年博士の学位を取得、同56年12月に京都大学理学部助手に着任、同63年1月に講師に昇格。同年11月に高エネルギー研究所(KEK)助教授となり、平成2年7月には京都大学基礎物理学研究所教授、そして、平成14年4月に大学院理学研究科物理・宇宙物理専攻の教授となり、現在林忠四郎現名誉教授、佐藤文隆現名誉教授の後を受け天体核研究室を主宰しています。

中村教授はその大学院生時代に世界に先がけいち早く、「星の重力崩壊の結果としてブラックホールが形成されるときの時空構造を数値計算に一般相対論の基礎方程式であるアインシュタイン方程式を解くことにより解明する」という問題に関心を抱き、京都数値相対論グループを組織してこの問題に取り組みました。その基礎研究をもとに中村氏は様々な技術的困難を克服し世界ではじめて軸対称ブラックホール形成のシミュレーションに成功しました。1990年には、この業績で西宮湯川記念賞を受賞。更に、中村教授はこの研究を3次元計算へと拡張する研究を進め、現在の数値相対論といわれる分野の基礎をつくると同時に、その分野をリードする後身の育成という点においても優れた業績を残しています。更に、ブラックホール時空の摂動を計算するための基礎方程式(佐々木-中村方程式)の導出をおこなうなど解析的な研究においても顕著な業績があります。

その一方で、平成3年度から平成6年度にわたり文部省科学研究費重点領域「重力波天文学」の領域代表として日本の重力波干渉計プロジェクトの創成に中心的な役割を果たしました。その後も文部省科学研究費創成的新プログラム方式による「干渉計による重力波検出研究」(平成7年度-13年度)、及び、文部科学省科学研究費特定領域A 「重力波研究の新展開」(平成13年-17年度)において理論グループ代表を務め、日本の重力波研究の推進に大きく貢献してきました。

さらに、中村教授はガンマ線バーストに代表される種々の天体現象の研究においても世界をリードする活躍をしています。ここにそれらについて紹介する余裕がないことは残念ですが、中村氏はそれらの研究を重力波と結びつけるいくつもの斬新なアイデアもこれまでに提出しています。それらの研究を通じての一般相対論・重力波研究の推進への貢献も多大なものです。