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諸熊 奎治 福井謙一記念研究センターリサーチリーダーが恩賜賞・日本学士院賞を受賞 (2008年3月13日)

  諸熊 奎治 福井謙一記念研究センターリサーチリーダーに恩賜賞・日本学士院賞が授与されることになりました。
  授賞式は,6月に日本学士院で行われる予定です。
  以下に諸熊 福井謙一記念研究センターリサーチリーダーの略歴,業績等を紹介します。

 諸熊 奎治 博士(福井謙一記念研究センターリサーチリーダー)は,昭和32年京都大学工学部工業化学科を卒業,同37年同大学大学院工学研究科博士課程単位修得退学,同37年同大学工学部燃料化学科に助手として採用,同38年工学博士号取得,同41年米国コロンビア大学客員助教授,博士研究員に採用,米国ハーバード大学博士研究員,米国ロチェスター大学助教授,准教授を経て,昭和46年から同大学教授,同51年分子科学研究所教授に着任しました。平成5年より米国エモリー大学教授,同18年京都大学福井謙一記念研究センターリサーチリーダーに着任し,現在に至っています。この間,平成12年より国際量子分子科学アカデミー会長を2期6年間にわたって務め,文字どおり世界レベルで量子化学分野の発展に大きな足跡を残しています。

  今回の恩賜賞・日本学士院賞の受賞は,諸熊博士の永年にわたる「分子の構造・機能・反応設計に関する理論的研究」に対するものであり,量子化学及び統計力学に基づく理論化学・計算化学における世界に冠たる業績によるものです。分子の構造や機能あるいは化学反応に関して,電子状態に基づく微視的視点からの深い理解とそれに基づく予測は,化学分野で不可欠であるとともに,自然科学全般の新しい発展をもたらすものです。諸熊博士は独創的な考えにより,新しい理論的方法を開発・提案し,それに基づき,理論化学・計算化学を力強く推進し,分子の構造・機能,化学反応過程の微視的理解と予測を達成しました。分子構造と機能に関する理論的研究では,相互作用エネルギー分割法を開発し,複雑な分子の構造と機能を解明し,分子設計に結び付けました。最近は,電子状態理論と分子動力学理論を融合した理論を用いて,構造と機能が高度にマッチングしたフラーレン,カーボンナノチューブなどの炭素ナノ構造体の生成機構を解明し,世界的な注目を集めています。化学反応は,化学分野の中心的課題であり,その原理の解明は化学の深化と大きな進展に結びつくものです。諸熊博士はエネルギー勾配法,オニオム法を開発し,様々な化学反応の分子論的な深い理解と予測に成功しました。具体的な例は枚挙に暇がありませんが,特に,ウィルキンソン錯体によるオレフィンの水素化反応の全触媒サイクルの解明,均一系オレフィン重合反応触媒の反応機構解明と触媒設計は大きな注目を集めました。以上のような諸熊博士の研究成果は,国内外,理論化学・実験化学分野を問わず極めて高く評価されています。

  これらの研究に対して,平成4年日本化学会賞,平成5年世界理論有機化学会よりシュレーデインガーメダル,平成17年アジア・太平洋理論及び計算化学会より福井メダルを受賞されました。