大西 有三

大西 有三

大西 有三(おおにし ゆうぞう)

外部戦略・情報・安全管理担当

特命事項
渉外、外部資金戦略、基金、財団関係、環境保全、情報環境、社会連携

メッセージ

 平成20年10月から理事の仕事を始め、平成21年11月より担当が上記の現在の形に変わったので、ここで施設・情報担当として仕事をしてきたこの約1年を振り返ってみたいと思います。

 施設整備については、学内の主要な建物の耐震性向上が最優先で行われました。この1年の間に古い赤煉瓦作りの建物が建設作業幕で覆われ、中で作業音がしているのを聞かれたに違いありません。赤煉瓦の建物は、外観が重要なので、耐震補強をするのに大変手間がかかります。しかし、最新の耐震技術を使って改修が行われており、一部は既に修復が終わり、新しい姿を現しつつありますので、見て楽しんでいただければと思います。新規の建物もいくつか建設が進んでいます。

 吉田地区医学部構内では、iPS細胞研究の研究拠点となる「iPS細胞研究施設」の建物が完成に近づいており、今後世界最高レベルの研究が活性化される期待があります。寄附事業である杉浦地域医療研究センターが完成、積貞棟は、外郭が見えてきました。これが完成すれば、診療環境の改善が達成されると共に、老朽化建物の耐震改修に着手できます。ただし、耐震改修は、基本的には国の支援に基づいて行われるので、安全確保のために出来るだけ早い時期の予算措置が望まれますが、このところの新政権による事業仕分けで予断を許されない状況になっております。吉田地区では、「世界トップレベル研究拠点プログラム」の一つである、iCeMSの拠点整備、いくつかの建物の建築準備が進み、地中の埋蔵文化財調査のための掘削が行われています。

 桂キャンパスにおいては、工学研究科の物理系施設についてPFI事業を実施する道筋が出来てきました。まだ、課題は残っておりますが、桂キャンパスの整備を充実するために一層の努力が必要と思われます。また、宇治キャンパスでは、おうばくプラザ、職員宿舎11号棟が完成し、厚生福利の向上が図られています。

 全学的に見ると、スペース確保が難しくなっています。大学構成員の大多数が、狭隘化を訴えており、早急な対策が求められております。新しいスペースを生み出すには、地下空間の利用など新しい視点で新規の空間整備を行うと共に、利用度の低いスペースを見つけ出し、適切な再配分を通じて(施設マネジメント)、全学的な観点からその有効活用を行うため、具体的な実施案を策定しています。

 政権が変わって、CO2の大幅な削減、省エネルギーの徹底が叫ばれております。建物、設備、エネルギー等の高度有効活用を図るとともに、施設等の機能保全と維持管理に努め、教育研究等活動に相応しい施設水準を確保しようとしております。そのために、京都大学では平成20年に環境計画の策定と環境賦課金制度の創設を行い、各部局で事業が実施されています。しかし、大学全体におけるエネルギーの総量抑制は容易ではなく、苦戦しています。これからは、エネルギー使用量計測機器の設置を行うなど、個人や研究室、実験機器の使用エネルギーの見える化運動、太陽光発電装置の導入など積極的な施策を進めていく必要があります。

 もう一つ担当している情報環境については、多く変化が起きています。しばらく準備を進めてきた統合認証システムが、平成22年度(来年4月)から稼働します。教職員証、学生証も変更になり、シングルサインオンによる利便性の向上、ICカード導入による情報セキュリティの更なる安全性の確保が可能になります。また、古くなりつつあるネットワークの高速化に努めており、平成21年度末には、吉田北地区、桂地区を残すのみになります。

 情報環境機構教育用コンピュータシステムでは、オープンスペースラボラトリ(OSL)4カ所、サテライト14部局24カ所に約1200台のパソコン端末を設置し、授業や自学自習に供する用になりました。さらに、教育用コンピュータシステムの利用者に対しては、電子メールサービスを行っており、学内外を問わずWebブラウザを使用してメールの送受信を行えるようになりました。

 以前にも述べましたように、京都大学はExcellent University と呼ぶにふさわしいキャンパスを目指しています。施設にしろ、情報環境にしろ大学のインフラとしてしっかりとした整備を行っていかなければ世界のトップスクールから取り残されてしまいます。大学の執行部としてこれからも様々な問題解決に取り組んでいきますので、皆様のご協力、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。