西村 周三

西村 周三

西村 周三(にしむら しゅうぞう)

教育・学生・国際(教育) 担当

特命事項
教育企画、入試、学生支援

メッセージ

 私は平成18年4月より2年半、尾池和夫前総長のもとで国際交流・情報基盤担当理事を務めましたが、昨年10月からは、松本紘新総長のもと、2年の任期で、教育・学生・国際交流(学生)担当の理事として再任され、現在に至っています。担当は、教育と学生に関わる仕事と、留学生と学生の海外研修などです。現在担当している主な任務は、(1)教養教育の充実に向けた教育制度の整備、(2)学生の福利厚生施設などの充実(学生寮の整備)などです。また国際交流の仕事としては、本学の国際性を高めるためのさまざまな事業の充実を図りたいと考えています。

 現在、京都大学は、外国からの研究者や留学生を多数受け入れていますが、世界各国の主要な大学と比べて、質量とも、十分に国際化しているとは言えません。 また日本の学生諸君が、海外で研修をうける機会も決して十分とは言えないと思われます。これまで、ともすると、かけ声倒れに終わっていた国際交流を、より 実のあるものにするというのが、私に課せられた一つの業務であると考えています。

 さらに以下では私自身の個人的な話をさせていただきます。

 私はこの5年間、京都大学音楽部交響楽団の部長を務めてきました。この文化サークルは、創立91年という長い歴史をもつ由緒あるサークルで、たとえば朝比奈隆さんという世界的に有名な指揮者を生むなど、アマチュアの交響楽団では、日本で最高の楽団であるという評価もあります。この部長の仕事は結構大変なものでしたが、本当にやってよかったと思っています。

 この楽団の学生諸君は、先輩から歴代受け継いでいるものがたくさんあります。年2回の定期演奏会を、ほとんど全部学生諸君の自主的な運営でやりますので、これに携わる人は、この間にずいぶん成長します。言い方が変かも知れませんが、多くの大人と接するので、自然に礼儀作法などが身につくのです。また毎回、客演指揮者にお世話になることは、精神的にも彼らをずいぶん成長させます。立派な演奏をするためには甘えが許されないからです。さらに、先輩と後輩の関係についても、多くのことを学びます。

 こういったことは、おそらく多くの体育会でも同様と思われます。最近、多くの場で学生の体育会離れが叫ばれていますが、これはおそらく、いろいろな規則や縛りに拘束されたくないという若者の気質の変化だと思います。体育会の加入者が、就職活動に有利であると言われるのは、こういった大人の世界のルールを知らず知らずの間に学べるということの効用があるからだと思いますが、交響楽団のような文化系サークルにも、これに近い伝統があることを、部長になって初めて知りました。

 もちろん若者らしさを決して失っているわけではありません。演奏会を終えた日には、市内某所を借り切って朝まで宴会をします。飲酒による事故が生じないように気を配る必要があることが悩みの種ですが、この宴会も実に秩序立っていて、昔からの伝統を多く受け継いでいます。お酒を飲めない人に対する配慮もあります。

 私は、学生担当の理事を拝命する決心をするにあたり、この交響楽団の部長の経験が、一つの大きな動機となりました。勉学だけでなく、課外活動で学生諸君が成長するのを見るのは、とても嬉しいものです。学生担当理事として大学が学生諸君の人格形成の手助けができるような状況の整備を、との松本総長の指示があり、教育改革のなかでこういったことにも取り組もうと考えています。どうか皆さまのご支持をお願いいたします。