藤井 信孝

藤井 信孝

藤井 信孝(ふじい のぶたか)

施設担当

特命事項
教育・研究環境、学生支援施設、福利厚生施設、キャンパス計画

メッセージ

 平成20年10月1日付で松本総長より研究および国際(研究)担当理事を拝命し、研究企画・戦略、研究支援、研究規範を特命事項として京都大学本部業務を本務として仕事をさせていただき1年が経過いたしました。この間担当業務を通じて、本学が抱える種々の問題に取り組んでまいりましたが、平成21年11月1日付で理事の所掌を替わり、施設を担当することになりました。特命事項として教育・研究環境、学生支援施設、福利厚生施設、キャンパス計画を具体的に担当することになります。本学の「エクセレントユニバーシティー」としてのキャンパス構想を実現するために微力ながら粉骨砕身の努力をする所存でございますので、ご意見ご協力ご指導の程よろしくお願いいたします。

 教育・研究・医療等の活動に対応した安全で良好なキャンパス環境を整備するという基本目標の達成に向けて、第1期中期目標・中期計画を基本にした本学の施設整備は関係各位の多大なご尽力によりほぼ順調に進み、現在文部科学省施設整備補助金により16件、新たな整備手法による整備として15件が吉田地区を中心に本学の各キャンパス内で進行中です。病院地区の整備も進み新病棟「積貞棟」や「iPS細胞研究施設」の竣工も間近です。宇治キャンパスも「おうばくプラザ」の完成により見違えるようになりました。本学では耐震性等の安全性に問題のある施設等、教育・研究・医療活動に著しく支障がある施設の再生を最優先課題として、建物の耐震化率を向上させることに重点を置いた整備が進められてまいりました。これに関しては補正予算や施設整備費等国の予算に依存するところも大きいのですが、優先度の高いものについては本学独自の予算を用いて「重点事業アクションプラン」に取り入れて進められています。一方、長年の懸案事項である吉田南構内南部エリアの再開発事業の一環として、特に老朽化した学生寮の建て替えは喫緊の課題として取り組まなければなりません。国の留学生30万人に関連した本学独自のK.U.PROFILE事業とも関連して、「国際教育研究棟」の新営も視野に入れながら、留学生-日本人混住型、研究者-学生混住型の寄宿舎整備の具体化についての議論を重ねていかなければならないと考えています。

 キャンパス環境の整備は本学の教育・研究・医療活動の基盤をなすことから、第2期中期目標・中期計画においても引き続き「エクセレントユニバーシティー」に相応しい、施設の確保および整備拡充に関する施策を実施する必要があります。平成12年11月の新キャンパス委員会・建築委員会にて可決された「京都大学桂団地施設基本計画」にて計画されている(桂)総合研究棟III(工学研究科物理系)について、平成24年度中の整備完了に向けPFI事業を軸足として施設整備事業を着実に推進する必要があります。一方では、国際的な教育・研究拠点に相応しい豊かで快適な施設環境を整えるために、狭隘化しつつある吉田本部地区のスペースの有効活用も工学研究科(物理系)の桂キャンパス移転と並行して計画立案する必要があります。吉田本部地区建物施設の利用希望も多いことから、移転後の利用計画に関する将来構想をしっかり議論して進めていく必要があります。また平成19年12月の施設整備委員会にて可決された「病院構内マスタープラン」の「病院構内敷地周辺整備年次計画」の達成に向けて着実に整備を進めていかなければなりません。

 施設、設備等を全学的観点から有効活用するとともに、教育研究活動に相応しい施設水準を確保することを目的とした「京都大学施設の再配置・有効活用に関する基本方針」等にて、施設等の有効活用に関する本学の方針が示されています。また文科省が策定した「第2次国立大学等施設緊急整備5カ年計画」にて文科省は大学に「全学的視点に立った施設運営・維持管理やスペースの弾力的・流動的な活用等の施設のマネジメントの一層の推進」を求めており、これらを踏まえて第2期中期目標・中期計画を設定しなければなりません。これに基づいて本学のスペースの弾力的運用、重点プロジェクト研究等の推進に対応する共通スペースの確保、スペースチャージ制等の拡充を図る必要があります。すなわち、全学的な観点からスペースの適切な再配分を実施し、本部構内の再配置や全学共用スペースの確保を推進する必要があります。施設整備委員会の下に、全学共用スペースにおける「全学共用スペース有効活用専門委員会(仮称)」を設置し、施設の有効活用に関すること、施設の利用者の選定に関すること、施設計画、利用計画に関することおよびその他の必要な事項を検討していきたいと考えています。一方、施設、設備等の実情について点検評価を実施し、機能保全・維持管理計画を拡充するとともに、本計画に基づき機能保全維持管理を実施する計画です。

 文科省が策定した「第2次国立大学緊急整備5カ年計画」にて、文科省は大学に「寄付・自己収入による整備など、国立大学等の自助努力に基づいた新たな整備手法により施設整備の推進」を求めており、本学においても民間資金等の活用(PFI)事業等の導入により弾力的に施設整備を進めていく必要があります。一方、今年度の補正予算の本学における施設整備の保留は解除され、次年度概算要求に関する施設整備費は民主党政権における事業仕分けの対象外となっていますが、今後策定される「第3次国立大学等施設整備5カ年計画」において新規計画は厳しい査定を受ける可能性があります。大学の文教施設整備は、単なるハコモノ整備ではなく、独創的、先端的、国際的な学術研究や創造性豊かな人材育成のための活動拠点であることを機会あるごとに訴えていくことが必要であると考えています。ご支援の程よろしくお願いいたします。