京都大学春秋講義

京都大学春秋講義

  春秋講義は、京都大学における学術研究活動の中で培われてきた知的財産について、広く学内外の人々と共有を図るため、1988(昭和63)年秋から月曜日と水曜日に分かれて開講されています。月曜講義はメインテーマをもうけ、水曜講義は講師それぞれが、時宜を得たテーマについて講義を行います。

平成20年度 秋季講義

月曜講義

メインテーマ: 「海(うみ)」
講義時間: 18時30分~20時00分 (開場18時00分)
会場: 京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
定員: 500名
10月6日(月曜日)
平田 孝 教授 (農学研究科)
「海からの贈り物 -海洋生物資源を未来につなぐ-」
10月14日(火曜日)
中務 哲郎 教授 (文学研究科)
「海のギリシア文学」
10月27日(月曜日)
淡路 敏之 教授 (理学研究科)
「観測とモデルの総力戦で海の全層を診る」

水曜講義

講義時間: 18時45分~20時15分 (開場18時00分)
会場: キャンパスプラザ京都 4階 5階 第1講義室 (JR京都駅ビル駐車場西側) 
定員: 280名
10月8日(水曜日)
稲垣 暢也 教授 (医学研究科)
「糖尿病の早期発見-予備軍から生活習慣を-」
10月15日(水曜日
松本 紘 京都大学総長
「京都大学と京都」
10月29日(水曜日
長瀬 敬昭 法科大学院特別教授
「裁判員制度が始まります!」

月曜講義と水曜講義の講義時間、定員および会場はそれぞれ異なります。お間違えないようにご注意ください。

共通要項

受講料: 無料
申込み: 不要 (各講義とも先着順)
問い合わせ先: 京都大学企画部社会連携推進課
電話 : 075-753-2233
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
E-mail : kinen52*mail.adm.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
主催: 京都大学
後援: 財団法人 京都大学教育研究振興財団

講義の概要

月曜講義 (京都大学吉田キャンパス)

10月6日(月曜日)
「海からの贈り物-海洋生物資源を未来につなぐ-」 平田 孝 教授 (農学研究科)

 海洋生物資源を未来につなげるために私たちは何ができるであろうか。様々な試みが始まっているが、なかでも海洋生物が秘めている様々な機能性物質を明らかにし,私たちの健康維持や生活向上に活用する等、海洋生物資源をこれまで以上に有効に利用するための研究や技術開発に世界中の注目が集まっている。本講義では、抗アレルギー、抗肥満、美肌維持等、海洋生物が有する様々な成分の新しい機能や利用法について紹介する。

10月14日 (火曜日)
「海のギリシア文学」 中務 哲郎 教授 (文学研究科)

 「海よ、僕らの使ふ文字では、おまえの中に母がゐる。そして母(mère)よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海(mer)がある」(三好達治「郷愁」)。ギリシア語にはmerの同族語はないし、海を表すthalassaも先住民からの借用である。ヨーロッパの内陸からバルカン半島に南下して来たギリシア人は初めて海を知り、海に怖れを懐き、やがて有能な海洋民族となった。『オデュッセイア』の海の冒険を中心に海のギリシア文学を紹介したい。

10月27日 (月曜日)
「観測とモデルの総力戦で海の全層を診る」 淡路 敏之 教授 (理学研究科)

 1990年代以降、人工衛星や2000mの深海まで自動計測するARGOフロート等により地球変動観測が飛躍的に進歩した。さらに近年では、これらの観測データと数値モデルを融合・補完できる凄腕のデータ同化技法が開発された。この先端テクを使ってスパコン上で総力戦を展開することにより、地球最後のフロンティアである海の「全層解読」と「未来の予測」はどの程度まで可能になったのか、今後の問題点も含めて概説する。

水曜講義 (キャンパスプラザ京都)

10月8日(水曜日)
「糖尿病の早期発見-予備軍から生活習慣を-」 稲垣 暢也 教授 (医学研究科)

 我が国における糖尿病患者数は820万人、その予備軍は1050万人と、増え続ける一方です。糖尿病を患うと、さまざまな合併症により健康寿命が短縮するだけでなく、医療費もかさみ患者さんはもちろん我が国にとっても大きな問題です。
本講演では、糖尿病がなぜ我が国においてこれほどまでに増加しているのか、発症の予防や進展の抑止のためにどのようにすればよいのか、そして最近の糖尿病治療の進歩についてもお話ししたいと思います。

10月15日 (水曜日)
「京都大学と京都」 松本 紘 京都大学総長

 京都大学は「自由の学風」を歴史的に育み、そのもとに学生個々人の自発自啓を重視する独自の教育と研究を行い、多くの優れた人材と研究業績を輩出し、地球社会に多大の貢献を行ってきた。111年前“真理の探求”を目的に設立された京都大学が大きく発展できたのは、いつに千年の歴史を誇る山紫水明の地京都に負うところが大きい。一方時代に阿ることなく知的創造を行う京都大学も、京都という“着物”に独特の模様を浮き立たせていると自負している。京都と大学との係わりについて俯瞰したい。

10月29日 (水曜日)
「裁判員制度が始まります!」 長瀬 敬昭 法科大学院特別教授 (法学研究科)

 いよいよ平成21年5月21日から裁判員制度がスタートします。この講義では、皆さんが裁判員に選ばれるまでの手続きの概要、選ばれた裁判員がどのような仕事を行うのか、裁判員制度の対象事件がどのようなものであるかなどについて説明します。また、最高裁が制作した広報用映画のうち、架空の事件を基にした裁判員選任手続き部分から公判審理部分までのダイジェスト版を視聴していただきます。