斎藤通紀 医学研究科教授が日本学士院学術奨励賞を受賞(2014年1月14日)

斎藤通紀 医学研究科教授が日本学士院学術奨励賞を受賞(2014年1月14日)

 このたび、斎藤通紀 医学研究科教授が日本学士院学術奨励賞を受賞することになりました。

 同賞は、優れた研究成果をあげ、今後の活躍が特に期待される若手研究者に対して与えられるもので、日本学術振興会賞を受賞した研究者の中から6名以内が選ばれるものです。

 授賞式は平成26年2月に日本学士院で行われる予定です。

 以下に、斎藤教授の略歴、業績を紹介します。

 斎藤教授は、平成7年京都大学医学部を卒業、同11年同大学大学院医学研究科博士課程を修了し、同年医学博士の学位を授与されました。英国ケンブリッジ大学博士後研究員、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター チームリーダーを経て、平成21年に京都大学医学研究科教授に就任し、現在にいたります。

 今回の受賞は、「マウス生殖細胞の発生機構の解明とその試験管内再構成」によるものです。

 精子および卵子の起源となる始原生殖細胞は、その発生過程においてゲノムワイドなエピゲノム修飾を変換し、細胞としての全能性・多様性を獲得する基盤を形成します。斎藤教授は始原生殖細胞に特異的に発現する遺伝子を次々に同定し、その形成に必須の二つの転写制御因子を見出し、その機能を証明し、生殖系列の形成機構を初めて解明しました。この成果をもとにES細胞やiPS細胞から胚体外胚葉細胞を誘導し、これを始原生殖細胞様細胞に分化させ、更にこれを精子や卵子にまで分化させることに成功しました。このようにして誘導された精子や卵子から健常な新生仔マウスが生み出されることも証明しました。

 始原生殖細胞様細胞から卵子を誘導した研究は、Science誌が選ぶ2012年の10大研究の一つに選ばれ、斎藤教授は本研究領域の世界の第一人者と認められており、今後この分野の発展に更に大きな貢献をするものと期待されることから、今回の受賞の対象となったものです。