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抗体遺伝子改編酵素(AID)のRNA編集活性証明に成功 -抗体遺伝子機能強化機構の解明に期待-

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用語解説

AID

抗体遺伝子座におこるクラススイッチ組換えと体細胞高頻度突然変異(somatic hypermutation)を制御する遺伝子Activation-induced cytidine deaminase AID(GENBANK遺伝子名:AICDA)をさす。この遺伝子機能が欠損するとクラススイッチ組換えと体細胞高頻度突然変異も欠失しIgG、A、Eや高親和性抗体が作られない。生体に抗原が侵入した際、B細胞は抗原刺激で活性化されるが、AIDはこの活性化されたB細胞に発現が誘導される。活性化されたB細胞の多くは、クラススイッチ組換えと体細胞高頻度突然変異を行う。体細胞高頻度突然変異は、抗体遺伝子の可変領域におこる点突然変異の蓄積をさす。クラススイッチ組換えと体細胞高頻度突然変異は、B細胞の抗体遺伝子でのみおこる現象で、AIDの発現がそのトリガーを引く。

AIDは、198アミノ酸からなり、シチジンデアミナーゼスーパーファミリーに分類されている。このファミリーは、DNAやRNA上の塩基Cの脱アミノ反応を触媒し、CからUへの変異を作るという共通点がある。ファミリーの中にはアポリポプロテインB100のRNA編集酵素APOBEC1やHIVウイルスのゲノムに多数のGからAへの高頻度変異を導入するAPOBEC3Gなどがあることから、AIDも類似の活性によりクラススイッチ組換えと体細胞高頻度突然変異を抗体遺伝子座に起こしていると考えられている。

クラススイッチ

IgMを発現するB細胞が、IgGやIgAやIgE等の他のクラスの抗体を産生するようになる現象。一つのBリンパ球は、一つの抗原を認識できるIgMを発現するが、この現象によりそのB細胞は抗原認識を変えずにIgGやIgEを産生できる。

クラススイッチ組換え

クラススイッチを起こすための組換え反応。抗体重鎖遺伝子は、抗原認識を司る可変領域と抗体のクラスを決める定常領域からなる。抗体は重鎖の定常領域の違いによりIgM、IgG、IgE、IgAに分類される。通常、抗体重鎖遺伝子からはIgMが翻訳されるが、B細胞が活性化されるとIgMに該当する定常領域イクソン(Cμ)が組換え反応で欠落し、Cμの下流にあるIgGやIgAの定常領域が可変領域イクソン直下に再配置される。

親和性成熟

ある抗原に対する抗体の抗原結合能が、時間とともにあるいは抗原刺激の度に飛躍的に上昇する現象。この現象はタンパク性抗原でよく知られている。

高親和性抗体を産生するB細胞が、抗原により選択増幅されることで、結果的に個体レベルで見たとき、抗体一分子あたりのその抗原に対する親和性が上昇することによる。親和性成熟はクラススイッチと並んで、抗体を介した免疫記憶の中核の機構である。

Somatic hypermutation

抗体遺伝子は、可変領域と定常領域から構成されるが、体細胞高頻度突然変異は、B細胞の可変領域イクソンに点突然変異が高頻度で蓄積する現象。一般に体細胞突然変異とは染色体DNAに変異が導入されたことをいう。体細胞高頻度突然変異は、体細胞突然変異の一つで、通常の体細胞突然変異より遥かに高頻度に変異が抗体遺伝子座に導入され、これはAIDが制御している。抗原による点突然変異の選択機構と連動し、抗体の親和性成熟を生み出す。

APOBECファミリー (Apolipoprotein B mRNA editing catalytic polypeptide ファミリー)

DNAやRNAの脱アミノ反応を触媒するcytidine deaminaseの総称。最初に報告されたAPOBEC1(apolipoprotein BのRNA editingを行なう)の遺伝子名にちなんで命名された。 APOBECファミリーによる脱アミノ化は、CからUの点突然変異をつくる。現在AIDとAPOBEC1、2、3、4がそのメンバーとして報告されている。ヒトではさらに8種類の異なるAPOBEC3がある。APOBEC3のいくつかのメンバーは、ウイルスのRNAやDNAゲノムを脱アミノ化することで、ウイルス感染を制御していると考えられており、特にAPOBEC3Gは、HIVウイルスゲノムを脱アミノ化する。AIDは、抗体遺伝子の多様性創出機構であるクラススイッチとsomatic hypermutationを行ない、AID欠損は高IgM症候群2型の原因として知られている。

RNA編集 (RNA editing)

RNA上のCがUに変換されることはRNA編集の一つである。ほ乳類ではアデニンがイノシンにかわるRNA編集も知られている。

DNA deamination

DNA上のCがUに変換されること

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